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巴里・コレ 平川版:その他
少し、時間が経ってしまってすみません。お待たせしました。
11月25日までのほぼ1ヶ月を今回は東京で過した。
この時期が東・コレ開催月もあって幾つかのコレクションを見た。本当に今回は“摘み食い”もいいとこであった。
この時期、出来るだけ多くのモードを学ぶ日本人学生たちの前に出てリレーションを持った。目白デザイン学校でのデザインを学ぶ一般学生たちへ特別講義とメンズを学ぶ夜間コースの熱心な学生たちとは21時過ぎまで3週連続の講義。今年も桑沢デザインにも呼んでもらった。そして、特別だったのは尊敬する尾原先生と共でI.F.Iで初めての講義、それに、今年から大学となった共学の杉野服飾大学での初講義とこの1ヶ月はスクール・ラッシュ。
楽しかったのは、10数年来の友人のドミニックがA.P.C.コレクションのキャスチィングのため巴里から初来日。彼女の仕事振りを本格的に始めて見て驚き。とてもプロフェッショナル。ショーにおけるキャスチィングはパリではとても大切なイメージ・デイレクションの一環で先シーズンの彼女のパリ・コレでの、A.ドウーメルメスター、M.シトボンそして、A.P.C.での仕事振りはコレクションが終わったパリのキャナルプリュスでドキュメン番組が組まれオン・エアーされたほど。その彼女とご苦労様を兼ねて箱根温泉へ友人の余川君の運転で一泊旅行。久し振りの温泉旅行だったので僕ものんびりとご満足。
そして、11月29日からはスイスのルーセンで今年もGWANDと言うファッションコンテストの審査。その後、チューリッヒへ。ここで2004年にこの街のナショナルミュージアムで開催しようとしている「オートクチュール・素材展」のコンセプト企画の打合せと契約のため何時もの友人宅へ4日滞在。そして、パリへ。
さて、前回の続きの、パリ・コレ平川版;
オリジナルなく、全くの自分が好きだと、カッコいいと思う他者のデザインをサンプリングして、リ・ミックス、リ・メイク、リ・モデリングによって今の時代の雰囲気をMTV宜しくカッコ良くスマートに表層を音楽っぽくヴィジュアライズしてしまう「ポストモダン・ハイテク社会」のモードの落し子たちを「ファッションD.J.」と新たに定義し、その代表が今シーズンのパリ・コレ初登場を果たしたわれらが街ブランド「アンダーカヴァー」。
それと全てに対照的だったのが、H.チャラヤンの今シーズン。最も刺激的で斬新なオリジナルなクリエーションを数学的発想とトポロジー的アイデアからダイクラ素材を中心に「サークル」を創造言語として発表。ショーとしての見せ方も成金的ではなく、知的ハイブリッド。この演出はA.べッタック。彼らのコンビでのショーは何時も知的好奇心を空間規模で演出する所にその良さと新しさを感じさせる。日本のこの手のショー演出家と称している連中に足らないのが知的時代感覚と空間美意識であろう。フセインのクリエイションでは「アウトオブカテゴリィー」が創造のための発想の大きなポイントであり彼独特の距離感であろう。もう、ファッションの新らしさを求める時、同じファッションの領域で考えるとおのずから、「ノスタルジック」な発想か「サンプリング」発想に陥ってしまう。フセインはいつもそこを攻撃的にポジチィフにそして、ポリチィカルにモードを解体し自分自らの距離観を持って知的にエモーショナルに再構築してゆく。本当に頭の良い数少なくなったクリエーターの一人である。従って、僕は今シーズンで一番刺激的なクリエーションを行ったデザイナーとして彼を挙げた。もうこういうデザイナーがシーズン毎にここパリでも少なくなって行く。
映画好きな人なら覚えているだろう。ヴィスコンチィ監督の「ベニスに死す」この映画の冒頭の数カット、海岸沿いを貴婦人がパラソルをさして歩いているシーン。これが多分、今シーズン、僕が最も美しと感じたジュンヤ・ワタナベのコレクションのイメージ・インスピレーションであろう。音楽ともぴったり。「サークル」をロマンチィック・ファンクショナリィな世界へパラシュートをモチーフとしてまとめたコレクション。「花」のウオール・ペーパープリントを使ってノスタルジックに、でも、フーチャーチックにまとめたのは正解。パラシュートはかつてに、H.チャラヤンもO.タスケンも使った事があるが時代の気分をこれ程までに上手にまとめたのは淳弥だろう。「彫刻家のアトリエを訪れてきた貴婦人」これが僕の彼のコレクションのイメージ。
ここで、モードはもう一度「夢」が必要な時代性を感じる。ポジチィフでフレッシュな「夢」、人間性主在のおおらかさとあでやかさの「夢」。
「LUTZ」で代表される‘90年代の半ばから登場してきたクリエイチィビチィの高い若手デザイナーたち、多くはオランダ系、ウイーン系とアントワープ系はここへ来て次のステップへ昇れるかどうかの時期が今シーズンだった。新人デザイナーのコレクションは最低、3シーズンを見てからでないと結論的なことは言えない。クリアチィビチィーとそれを実際の商品化へ落とし込むまでのプロセスが大切。これには最低3シーズンが必要。次に、このLUTZで代表される連中である。3年から5年でどの程度のビジネスが可能か。そのためのクリアチィビチィーとプロダクトとコマーシャル・プロセスがどの様なバランスでアクチュアリチィを持ち、継続出来るかがポイントとなるからである。
自分たちの世界観を勿論ベースとしたうえでのイメージラインとコマーシャルなラインとのコンビネーションでどれ位の受注が着くかである。そのためのビジネスシステムと生産状況が構造化されているかが一番大切になってくる。受注実数と生産発注数それに各アイテムのFBOプライスの関係である。ここで彼らたちは先輩デザイナーブランドのビジネス方法を学び、受注をとる時にミニマム方式を採用してくる。だが、オリジナリチィー豊かなクリエチィビチィを持って実際に着れるモノをどれ位、展示会に発表出来るゆとりが彼らたち若手デザイナーたちが持ちえているかが、僕の言うバランスである。多くの場合がデヴュー当時と変わらぬ、そこそこのクリエイチィビチィーとどう見ても着ずらいまた、実際には着るのが難しい服がそれなりの高価な値段で展示会に並んでいる事の方が多い。このバランスが巧くまとまっていたのがLUTZ.彼らたちの二チィングとカットソーラインはいい。アントワープ出身の新人デザイナーたちはH.アッカーマンを除いては未だ、今シーズンは物足りなさを感じた。ハイダーの場合はターゲット像がイメージ的にも実際の服つくりの上でもしっかりしている事と知的可能性をこのデザイナーは持ち得ているのが楽しみである。今シーズン、V.BUSとの契約上の問題でショーまでやれる余裕が無く展示会のみだったが彼の実力を再度感心したのがB.ウイリヘルム。変わらぬ自分の世界観で確りと時代を掴んだコレクションにはユーモアとアイロニィーと何よりも人間っぽい楽しさが‘80年代というノスタルジアと共にあたらしを感じさすまでにデザインされている。見掛けのカッコ良さのみを追っている日本人新人デザイナーと比べれば確実に彼の作るものが地に足が付いている。我が国を代表するデストリュビューター、V.BUS.を『まるで、赤ちゃんの様だね』という評価を多く聞き始める。いつも新しくメデアで騒がれるデザイナーをまるで、べべが新しいおもちゃを欲しがる様に求め、3年ほどで飽きれば次の新しく騒がれているおもちゃへの繰り返しだと言う比喩。自分たちで彼らたちの高イメージを日本マーケットで独自に継続させる発想も知恵も持っていないから悪く言ってしまえば、使い捨て。それに、ここのバイヤーが本当にプロの知識を持っていないのも問題だと古くから関係あるデザイナーは嘆く。買い方を見るとそのバイヤーがどれ位のプロかはデザイナーサイドの方が熟知している。自分たちが努力しないでも売れるものだけしか買わない。本当にそのデザイナーのクリエイティビチィーを好きで信じて契約しているのならそのデザイナーの『世界観』が各店頭で表現できる発想でのバイニングが結果、自分たちの契約デザイナーのイメージ継続にも通じるのが今のこの世界の現実である筈だが? その彼らたちの現在のニュートイはV&L。アーネム出身の優等生。しかし、彼らたちの今シーズンのコレクションはこれがあのV&Lかと思わず戸惑ってしまったコレクション。ダンスが、フスタがテーマか?情熱的な音楽とダンス。でも、彼らたちが持っていた知的で繊細なテイストやクオリチィが感じられなかったショー。気が付いてみると、今シーズンからプレスが変わった。2emビューローからカーラ・オットーヘ。ここで完全にイタリアンコネクションがスタート?ジボグループの生産背景がプレスエージェントまでも変えたのか?彼らたちがV.BAS.に出会えたのは数年前のあのフェスチィバルイエールでの偶然の出来事。それも、2emビューローのシルビーが彼らたちを連れてここを訪れた事がそもそもの発端。彼らたちの売れない,着れない服のプレゼンテーションをニュークチューと称して面倒をここまで見てきたのもシルビーのお陰。彼らたちのファッション観はもう一方の側からファッションを見てきた90年代初めのコンセプチャルな着せ替え人形の発想。着れるもの、売れるモノをちゃんと作る教育は受けてこなかったし、彼らたちも望まないままでここまで来れたラキィーボーイ。見せるものと着れるものとの差が大きすぎる割には値段が高すぎる。当然だが、カシヤマのワンブランドのファッション・デレクターを引き受けて資金の回りも良くなった。その為にアーネムで先生をしていた女性を付けた。さて、このニュー・トイはいつまで続くのか?今シーズンのコレクションを見ているとちょっと、不安に為って来た。シトボンやコロナのように3,4年で飽きられるのか?
中途半端ですが、今回はここまでにして、よき新年をお迎えください。
明日から、モロッコへ。そして、新年からはアントワープのプロジェクトを。
謹賀新年。
投稿者 : take.Hirakawa | 2002年12月27日 09:37