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Paris Collection '08'09A/W "The Best Tops Shows-AZZEDINE ALAIA】
The Best Tops Shows-AZZEDINE ALAIA】
コレクションが他の街に移った後のこの街は一時の静けさ。
春の陽射しと風と雨とが1日の内に戸惑って遠慮している様は、
新たな春が窓のすぐそば迄来ているのにこちらへ入って来ないもどかしさの毎日。
今シーズンのコレクションで僕が兎に角、感動したコレクションを書き並べてみよう。
その壱番バッターは矢張り、AZZEDINE ALAIA.
彼は今、現在は完全にインデペンデントな状況で此のモードの世界に君臨しているただ独りのクリエーターです。
彼の作るもの、彼の会社組織そして、彼の顧客、その総てが僕流に言ってしまえば、『The Top of the World』。
コレクションは彼の凄すぎる持ち味を充分に生かしての見事な迄のコレクション。
着る女性たちを先シーズンに続き、総て、上質なフレッシュ&エレガンス。
先シーズンはその多くを日本素材を使ってのコレクションであったが、今シーズンはイタリー製の最高級な縮襦ニットに手工芸的な技を幾つも施したもの、アニマルプリントを表面に施されたこれも、イタリー製のハラコ皮革素材を使ったものそして、同じように、日本のいぶし銀的な光沢表面に施した同じ、イタリー製の程よく鞣された皮革素材、これらがメインの素材でありこれらによって彼の世界がすべて、『Everything So Special !! 』な世界をクリエートした。
驚く事の最初が此の素材の選択眼である。
その根底には自信ある彼が持ち得ている構築力としてのトワレ感覚であり、技術であろう。
先ず、彼自身これらに自分のなすべき事のレベルと範囲と世界を見てしまっているのであろう。素材美をそのまま活かすもの、その上に施された装飾としてのプリントをバランス良く生かすものそして着た人の動きを生かす迄のシルエットの決め。これらのバランスある調和力に脱帽。分量のある上モノとミニ・フレアーなボトムというシンプルで絶妙な分量バランスが着る女性をより、フレッシュに、エレガンスにセクシーにさばき、仕立て上げる迄の服を今シーズンも発表した。
彼の企業形態も以前にPPCグループから買い戻し、今では自分の会社にしているはず。これで自分の世界を自分の「義務と責任」で守れる状態にした事も此の世界では凄いこと。
当然だけど、他のプレタポルテデザイナーは彼の足下には及ばない。あまりに彼が居る世界が違うのだろうか?
多分、J・ガリアーノが一番彼にジェラシーを感じている唯一のデザイナーであろう。
これらの素材の選びに驚き、次は其れを仕立て上げる技術と勘とまとめ方の巧さ。
そして、最後には、いいご夫人程着てみたくなる、着たくなるエレガンスとセクシーさが絶妙なバランス。
やはり、プレタのデザイナではありません。
彼のこの勘とセンスと何よりも素材の選びと其れにあった技術の施し方は何処から学ぶのでしょうね。
僕は彼を本当に腕のいい料理人に思ってしまうのです。
素材と、それらを料理する技術と言うか、腕前そして、勿論味付け。そして、最後はまとめる盛りつけの感覚に似た美の世界の上品さ。
其れを出されたご夫人たちはその見事さと匂いと盛りつけの美しさというより、エレガンスとセクシーというレディーが欲しい薫りが程よく、そして、みんな着たくなるもの、着てみたいもの。このほどの良さを、バランス感を熟知してしまっているクチュリエ。
ご自分がいい女と思っていらっしゃる顧客である世界の社交界のご夫人たちは当然でしょう。
彼に取っての美意識とは理屈ではないのでしょう。
勘と着る人を想うこゝろからのものでしょう。
きっと、着るご夫人たちとの会話から、彼女たちのこゝろを読み取り、感じ拡げる臭覚とでも、CAREこゝろとでも言う感覚も日毎に研ぎすまされていかれる勤勉な人なのでしょうね。
これが彼のコレクションのすべて。
世界の名だたる上流婦人が彼の顧客だと言う事が理解出来る迄の今シーズンのコレクションでした。
今シーズンの僕の眼差しは、
『 Everything So Special, That's all !!! 』
素材にも、クリエーションにも、技術にも、完成度にもそして、価格もが総て、自分の世界観で、『So Special !!』 が今は必要な時代性であり、キーワード。
当然、その造られた服の後ろに作り手の『異文化、教養そして、美意識』が熱く感じられるもの。
今の時代はお金さえあればそこそこのものが、フラットなものが造れる時代。此の波に乗って自らが、勘違いをしているのが今なお、多くの日本人デザイナーたち。
出来れば、何処かのサイトででも(STYLE.COMですか?)何かの機会にAZZINE ALAIAさんの作品を見て下さい。
そして、余談ですが、今、彼の作り出す世界でアシスタントを始めて居るのが日本人、瀬尾英樹君です。彼はアントワープを4年前に卒業した3Dが立派に造形出来た希な、卒業生でした。その謙虚さを持って堂々とこの世界でがんばっていらっしゃる数少ない、人間的にとってもチャーミングな人物。うれしいですね。こんな所でもがんばっている日本人がいらっしゃる事は。日本では、その大半が海外の学校を出れば其れなりのデザイナーになった様に大いなる勘違いで『虚飾の上塗り』作業ばかりしている輩が多いと言う時代なのですが。
蛇足を言わせて頂くと、
昨今のプレタのデザイナーと称する人たちは、若い人程、”フラット”な張りボテ。
トワレさえも自分で組めないお絵描きお芸術家デザイナーたちが彼らたちの新しいおもちゃの一つ「ILLASTRETER」や「PHOTO SHOP」を使ってのものつくりとイメージ作りが普遍化してしまった時代だから、いつの時代も『簡単/イージー/容易い』見た目の世界へ其れが、それなりに見えるフラットなイメージングの世界であればの、水のごときに流れてしまうから此れを時代性ともいいうのでしょう。
怖いし、寂しいし、本当のただの『虚飾』あるいは、金鍍金の世界。
これにも世界があるのでその世界で喜べる人びとたちは其れでいいのでしょう。そんな世界の彼らたちが「作品」と称するものの後ろに『教養や文化や美意識そして問題意識』さえも感じられない、させないフラットなものつくりが多くなってしまった此のモードの世界。だから、誰が作ったかも自分の名札が無ければ判らなくなるものたちの世界観。ここでも、メディアが発達してよかったのでしょう、でもその根底は『ただ、消費社会へ』。
何処迄、個人の欲望のみが肥大化し表層の張りボテ人間になれば何れ、その無様さに気が付く時が来るのでしょうか。
「 Merci beaucoup !! Mousieur AZZINE ALAIA. 」
「 ありがとう!瀬尾君。」
ありがとう、みなさん。
文責/平川武治:巴里市モントロイユ街55/57番地にて、
投稿者 : take.Hirakawa | 2008年03月18日 21:37 | comment and transrate this entry (2)
いつも一人の日本人として読ませていただいております。
平川さんの指摘する問題と解決への方向性に身が引き締まる思いです。特に”フラット”な張りボテというくだり、今の日本を象徴するような妙言ですね。
次も楽しみにしております。
更に私たちの知らないモードという世界を教えてくだされば幸いです。
投稿者 高橋誠太郎 : 2008年04月05日 15:07
10年ほど前、某服飾専門学校で半年程、平川さんの講義を受けていた者です。
学校を卒業後はファッションデザインには進まずに、様々な職を経て
現在はIT関連の仕事をしております。
(その間、アパレルの職には一切就いておりません)
この記事でご指摘の
トワレさえも自分で組めないお絵描きお芸術家デザイナーたちが
彼らたちの新しいおもちゃの一つ「ILLASTRETER」や「PHOTO SHOP」を使ってのものつくりとイメージ作りが普遍化してしまった時代
がちょうど始るか始らないか頃、学生生活を送っておりました。ファッションデザインを諦めたのはこれが原因かもしれません。平面もダメ、トワレもダメ、、デザイン画はヘタクソ、縫製は汚い、ただ休まず学校に行っているだけ。
担任には言いたいことをズケズケと物を申し、学校にケンカを売っていた…
その頃、ちょうど『イメージつくりが普遍化してしまう』原因ともいうMacに触れた事で、今の仕事の礎が気付けたと思っております。
『道具=Mac』も使い方一つで何でもできますが、『使いよう』という感じでしょうか。
10年前と何も変わっていないこと
平川さんが相変わらずな『平川節』でモード界をぶった斬っているように私も相変わらず“上”には物を申しておりますし、常にケンカを売っております。
お忘れかもしれませんが、学生時代、ある座談会の時に私が発言をしようとすると平川さんの顔が
すごい嬉しそうに見えました
『お、こいつまた言うぞ!』
みたない感じで。
そんな昔話をこの記事を読んで思い出してしまいました。
投稿者 sdkt : 2008年11月28日 16:25