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初夏からの巴里にて、モードの街の新たな環境と強かさ。

プロローグ/東京が持っている温度差とは】
 現在の東京はPOP=大衆消費社会の大きな固まりが泡沫化し始めた時代性。
この東京の現実はこの街、巴里とでもかなりの温度差がある、世界に類を見ない進化(?)の現実である。
 誰でもが、何でも作り得られる時代のリアリテ(現実性)の消費社会化とPC及び、モバイル,デジタルカメラと
その周辺機器の高度なる発達とその利用の一般、日常化によって、”パーソナルメディア化”が始り、
現実をより、細分化し、バーチャルイメージを一般化しはじめたのが現在でしょう。
もう、『micro-POP』から『カオスPOP』迄の現実。
しかし、そのコンテンツは極めて保守的なるサンプリングでしかないのが現実。 
 唯、消費社会の構造そのものは、極度に発達し、あらゆるルールがカオス的な状況をもたらした。
例えば、バイヤーがデザイナーであり、デザイナーがバイヤーで或る現実性。
そして、彼らたちが持ち得たパーソナルメディアに依って、消費者が直接的にディレクション出来るまでの
大衆消費社会構造のバーチャル-リアリティな泡沫化。 
 そこでの新たな登場人物の行為は『バーチャルなイメージ』を頼りに『エピソード』を求めている輩たちの様。
イメージは綻び、どれもが埃を被った状態へ。
バーチャルな世界を頼りに、『エピソード』を求め合う彼らたちは何処を彷徨っているのだろう。
此処でも、終わりを知らぬ消費行動そのものが自発性の暴露である。

では、巴里の街は?】 
 保守化の進展或は倦怠はいつまで続く?
社会全体が閉塞感に浸りはじめる。この「窓」を開けるのは誰か?
早くも、より物質的な豊かさを生活に求め始めたイミグレーター(移民居住者)たちで構成された
新-大衆がこの閉塞感を打ち破れるのか?
―――彼らたちによる、新-中産階級の構造化が進む巴里。
 消費文化そのものが消費財。―ミュージアムショップ的なるが全盛。
例えば、L.V.やエルメスなどのラグジュアリー系は自分たちのマークつき商品群を
嘗てのファッション、アクセサリーと靴バッグから時計、石ものジュエリーと香水とコスメから
陶器、オブジェ類や書籍に迄に延ばしはじめたラグジュアリィー-ミュージアムショップ系へと。
既に,消費そのものが大衆娯楽化し始めた。―アウトレット、eコマース、バーチャルマーケットのより、
一般化とリクレーション化。
 そして、この街のファッション消費者たちも所謂、『新-大衆化』ヘの進展。
その一つは新たな大衆としてのイミグレーターたち、もう一つの新たな消費者たちとはジュニア層である。
彼等たちにとっては社会へのメッセージもまた,物質化し,消費財になリ、気概消費へも。
―ECO,BIO,オーガニック,コミュニティ等。
 先ずは、登場人物を作り、その彼らたちへ『豊かさ』という味が付けられた”餌”を投げ込む仕掛けはいつの時代にも変わらない商業主義の世界の成せる技。

 やはり、世界的不況】
 この状況を被ってか、オムコレクションの今シーズンのバイヤーたちはおとなしい。
新たなデザイナーたちを買うまでには行かず、今までのデザイナーたちの並びを揃える程度の動きであった。
だから、サロンも今シーズンも比較的おとなしいシーズン。
『明日を楽しむため』に昨日のことで充分?な時代観。
明日を楽しむ為に、”昨日”の事ばかりでも、もうしょうがない閉塞感の時代に。
現在の巴里の消費の進展を見ている限り、嘗ての日本の消費社会の6、7年前の現実が今後の巴里。
 
 新たな動きとしてのディフュージョンブーム到来?】
 この街のモードも、所謂、「セカンダリーマーケット」を狙いはじめる。
その対称は、先程の『新-大衆』、イミグレーターたちのジュニアと中流階級者たちのジュニアたち。
従って、ターゲットとしては年齢層の低い、15~18歳が中心であろう。
彼女たちをMDした低価格帯の、彼女たちが着易い、着たくなるデザインとアイテム。
そして、デニムラインとのコーディネートファッションによるディフュージョンデザイナーブランド戦略が始る。
勿論、バッグやシューズも揃っています。
日本にも興ったことのあるプレタポルテデザイナーブランドのセカンドライン版のスタートだ。
 新たに行われた「PARIS FASHION DAYS」/主催は巴里プレタポルテ協会。
この背景には当然乍ら、デザイナーモノの匂い&イメージ+低価格+生産背景=新たな消費者へのアプローチ。
という図式が見える。
此処で今回の参加デザイナーたちを見ると、生産背景がイタリーにあること。
従って、その工場が新たな戦略として巴里と組みこのセコンダリーマーケットを開拓しはじめる。
若しくは、アンヴァレリー.Aのように巴里の若手デザイナーであり、ニュークチュールもこなし、
プレタもやりそして、今回、このセコンダリーに参加という組は
或る意味でこの街のモードの優等生に選ばれたデザイナー。
なぜならば、優等生たちの幾度かのサンディカと伴に中国訪問の結果であるからだ。
 今回の参加デザイナーはA.Fバンデボルスト(イタリー工場)/Ann v. Hash(中国生産)/
Vivian Westwood(イタリー工場)とイタリーからの3ブランドが巴里上陸。
 解り易い構造であるがこれを新たなデザイナーブランドマーケットへ参入させる強引さが
この街にしてみれば新しく面白い。
これが今後、どの様に順調よく成熟したマーケットへ伸びるか、又は、サンディカが文句を言いはじめるか?
巴里のジャーナリストの友人は、「シブヤ系、109系と一緒よ!!」と自慢げに。
 今までの”2階立て構造”が今後、新たに”3階立て構造”へ進化する可能性は読める。
又は、プレタポルテデザイナーたちの”2階建て構造”化にも繋がる。
この一番ボトムのデフュージョンラインが売れれば、自分たちのオリジナルラインのコレクションが
作れる迄の構造が確立されれば、これは此の国のモードの21世紀化でもあろう。
 これも、或る意味では「H&M」効果と言える。
この街の「ファーストファッション」の誕生と共に、新たなイミグレーターたちを新-大衆とした
新しい消費構造がここに来てより、一般化したと言えるからだ。
 theglobalherald.com/fashion-paris-fashion-days-enjoys.../5004/ 他、
 
 変わらぬ中国への期待度】
 この街のモード-ビジネスの強かさは今も尚変わらず、やはり伝統とクチュールに因り処って売り込んでいるだけである。
「君の國のファッションデザイナーたち、皆さん僕の街、PARISでショーをやってみませか?」というM.ディデエ-グランバックの挨拶ともセールスとも区別のつかない例の笑顔によって今回も、中国へ見事に上陸。
彼らたちはカレンダーを調節するだけ。これは無料。でもこの無料から有が生じるユダヤ人ビジネス。
後は、中国政府招待による、若手デザイナーたちを引き連れてのプロパガンダとデモストレーション。
巴里の新しさをチラ、チラさせる。そして、お金のあるデザイナーたちを呼び込み
彼らのショーをスケジュール内でセッティング。(その為のプレスは妹(2e Beaurou)が引き受ける構造。)
そして、幾度かの訪中の後にはフランス人若手デザイナーたちの為の生産工場と素材工場と言う
彼らたちの新たなビジネスの為に必要なバックグラウンドの関係性が誕生。
これは、ある意味で未だ”植民地政策”と変わりない構造。
しかし、嘗ての日本もこの手によって現在の様な規模と進化のファッションビジネスが誕生し,
その約10年後には現在の様なファッション大国に成長したのである。
だから,この中国という大国もその実効果はやはり、インデペンデントな独自のビジネス展開迄には
10年は掛る可能性があろうか?
その間に此の国の”モードのショーケース”はより、確実に一つ一つ、自分たちのステージの上に引き寄せ、
今世紀の今後も、「クチュール致上主義」を展開してゆくのだ。
その展開の一つが先の『セコンダリーマーケット開発』でもあろう。
デザイナーブランドのイメージングさえ確りしていれば、
これからは「グローバリズム」という恰好のレッテルがあるから、
さあ、もう『MADE IN FRANCE』でなくとも『MADEIN CHINA』で良い時代性とレンジのレシピ。
そして、中国の後はインドを経て『AFRICA』か??

 新たな『夢』の為に】
 新学期が始った日本のファッション学校で生徒たちと接して、改めて驚き考えさせられた事があった。
それは彼らたちにはもうファッションに対する『夢』願望が少なくなってしまった世代である事を知ったのだ。
では夢でなく何かと言えば、もっとビジネス的、若しくは現実的なる『儲け』と『カッコ良さ』と
その『バニィティーさ』それに、好きなファッションが出来て、勤められるという迄のレベルのに変わったようだ。
それだけ、ファッションが彼ら世代にとっては当たり前のものになったのだろう。
 巴里におけるコレクションを見ても、トレンドはその後すぐにファーストファッションのショップで
又、アウトレットでもおかしくない、eコマースでも楽しめ、サイトのオークションでも、もっと安く手に入るという幾つかのメニューまでの現実性と遊戯性。
そして、コレクションは『過去を物語るボキャブラリィー』がそのデザインの殆ど。
新しさは『過去時計』を良く見ることから生まれる迄の保守とその閉塞感。
 そこで、僕はこの『夢』が消え始めたファッションの世界に『夢』を再びと念い考えた結果が、
『テクノロジー』である。(この詳細は前回に書いたものです。)
その僕なりの眼差し『テクノロジー』をベースに今シーズンのオム-コレクションを見ると
それなりの読み方が見え始めた。

 コレクション-デザイナーに見た『テクノロジー』】
RAD HOURANI/昨年のイエール参加の新人デザイナー。アントワープ系。
コンセプトは然程、新しく無くなった所謂『ガンダム系』
フスナー使いに依っての幾通りに着こなすことが出来るタイプ。
素材はレザー中心に黒のみそして、今シーズンのトレンドとしての『ユニセックス』モノ。
頭のいいデザイナであろう。仕上がりの縫製テクニックが良い。
このデザイナーに営業的にやり手のお金大好きパートナーが付いたからこのようなスタートが出来た。
彼女も嘗ては、ヨウジの売り子だった女性。
巴里の前に、N.Y.で発表させるという手の内、強かである。

RICK OWENS/一生懸命若作りで今の時代の先端を引っぱているデザイナー。
或る意味で、嘗ての映画、『マッドーマックス』のテクノロジー版。
多分、一番先を勝手に走っているデザイナであろう。

ROMAIN KREMER/最近、此処数シーズンの彼の世界は共感出来る或る種の新しいさを感じる唯一人のデザイナー。
スポーツとプレタをミックスして彼が作る世界の独創性はノスタルジックな未来趣味がベース。
今シーズンも好奇心溢れるコレクションを。
いつも人とは違う事をしたい若手の独り。

CdG HP/このデザイナーもいつも人と違うことばかりを成し遂げて来た人。
この現実の彼女のパワーと好奇心と努力が此の国に彼女の立場を作り得た。
今回も、プリントの世界で日本の『プリント-テクノロジー』をオンパレード。
何をプリントしたかと言うと、『骸骨』。
これを意味ありげなコンセプトを作ってのジャーナリストへ発信。
変わらぬ、トレンドのフレーム内での”人がやらぬことを!”が続くメディア受け狙いなシーズン。
しかし、この凄さが、却って、此の国のデザイナーたちに受けるし、
これが新たなトレンドを呼ぶ迄のエゴであるからその発想と努力とその現実のテクノロジーの凄さには、
今の外国人デザイナーたちで列ぶ者が居ないのも現実。
”異端と異系”を継続することのみが僕たち、外国人デザイナーたちの自分自身を確立する為の最短方法であることを
この街へ来て20年足らずで学んだ唯一のデザイナー。
此処にも、彼女が信頼するしかない、日本の縫製技術は勿論、素材と素材加工技術と
プリント技術の強さをいつもコレクションで魅せてくれる唯一のデザイナー。
 例えば、今回のプリントコレクションは、
スクリーンプリント(顔料プリント)、インクジェットプリント、転写プリント
そして、柄の種類も踏まえ、生地の組み合わせは
スクリーンプリント=19種類、インクジェット、転写プリント=8種類に分けられます。
また、骸骨(スカル)柄の種類数
表地=12種、裏地=4種。 そして、表地の種類、柄の組み合わせで全部で25通り。
 お見事な算術で構成されたコレクションである。

RAF SIMONS/僕が好きな所は「RAF-IZM」的なる世界観を変わらず続けていることである。
或る種のフーチャーティックさと男の身勝手なロマンティックさそして、
男の役割としての”らしさ”や”臭さ”を求めているその彼の純なおとこ心に引かれるからである。
此処にも彼の眼の凄さと狙い目としても「日本の新素材」がある。
これからの新しさとしての『新-機械主義』的な動きは彼がいち早く感じ取っているのであろう。
此処で今後、彼のクリエーションでプラスされるべき事は、『勇気』である。
もっと、思い切った事を!!を望んでしまう。
 
 此処に上げた幾人かのデザイナーたち、古手、中堅、若手たちそして新人、彼等が率先して、
『アルティザン-テクノロジー』と『サイエンステクノロジー』の新たなバランス観で”21世紀モード”の
クリエーションを考える事は今後の若いモードを目指す若者たちへ『夢』そのものを与える事であろう。
ここに、新たな『新-機械主義』的な動きが始る。
 そして、予告的な発想では、次のファムコレクションにはこの「プリントモノ」がトレンドを生むであろう。
文責/平川武治:ST.-CLOUDにて: 

投稿者 : editor | 2010年08月04日 06:58 | comment and transrate this entry (0)

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