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MILK & MILK BOY、3年振りのランウエーを見る。
「MILK & MILK BOY」COLLECTION, 3年振りのランウエーを見る。
僕の眼差しは、「3年ぶりのこの規模の大きなコレクションをなぜ、彼女は今行ったのか?」
ご連絡をいただき、久しぶりで見せていただくこのメゾンのコレクションだ。
古くから親しくしていただいている大川ひとみさんのブランドで、愉しみにしていた。
結果は僕の期待を裏切らずピンクのバンダナと共に、若々しくカワイイコレクションでした。
1970年来、ブランド「MILK」を原宿で立ち上げて以来、「原宿のおかあさん」と言われる程
の原宿の主、知る人ぞ知る大川ひとみがまたもや3年ぶりで地元、原宿でのコレクションだ。
このブランド「MILK」はロンドンスのストリートと古着に憧れ、当然のように素早く、
ヴィヴィアン・ウエストウッドの世界を知り、’74年には「MILK BOY」を立ち上げ、その影響と
共に日本の若者たち、それもロック好き、おしゃれなロンドン・ストリートファッション大好き
若者たち、パンク好きな少年少女たちのアイコンブランドであり、一斉を風靡したデザイナー
であり、彼らたちへ大いなる刺激と影響を与えた正真正銘の「原宿ブランド」である。
こんな一つの街にこだわった街ブランドは世界でも類が無い。ちなみに、この時代のCdGは巴里
で全盛だったS.リキエルを上書きしていたブランドでしかなかった。
例えば、’77年、当時ロンドンのミュージュックシーンに登場した音楽とストリートシーンで
誕生した“パンクファッション”をいち早く、同時性と共に日本の若者たちに興奮をもたらし、
大いなる流行を原宿にもたらした第1人者は彼女、大川ひとみだった。従って日本における
“パンク・ファッション”を語るならば、当事者としての大川ひとみでありその後、10年ほど遅れ
CdG H.P.はブランドを反体制的なブランドにイメージングする為に用いたまでの発端だった。
ここでは「当事者、大川ひとみと傍観者、川久保玲」という差異が熱意と時間差を日本のファッ
ションシーンへもたらした結果があり、その後の川久保の学びを知った。しかし、この事実を
語れるもう一方の傍観者であるジャーナリストたちも今では少なくなってしまったので、
「CdGがパンクの精神を引き継いでいる」ブランドと評価されているがその発端の事実は決して
そうでは無かった。
そして、大川ひとみのもう一つの事実は、かつての「裏原ブーム」の起爆者、Under Coverの
高橋盾と今、世界レベルで渦中の人になってしまった藤原ヒロシの「育ての親」でもあり、
僕は山口文彦くんのセンスの良さも覚えている。
大川ひとみには鋭い眼力のような審美眼を持って原宿に集まる若い男の子のセンスのいい子を
見つけ出し、面倒を見てファッションセンスを育て磨き上げるという特異な癖がある。
即ち、彼女はファッションの本当の面白さは自分がロンドンの路上に憧れたように、原宿の
ストリートに自身のまなこを今なお晒して生きているリアリティなデザイナーなのである。
その彼女は1年前の3月半ばに彼女にとっては4番目のブランド、「ヴィクセン・プロダクツ
/VIXEN PRODUCTS」をこれも原宿の「MILK BOY」の地下にショップと共に立ち上げてい
る。ブランド・コンセプトは緊急を意味する“イマージェンシー(Emergency)”で、早々と
これからのメンズファッションの新たなコンセプトになる“オシャレな防災服/SWAT”をデザイン
する若さをも持ち続けている。
今回のコレクションもこの意気込みがまだ熱く感じられるまでの若さとクールさと可愛さ
が溢れた品の良いコレクションに仕上がっていた。
特に、MILK BOYはかわいかった。ゆるいファンクション & プロテクションにまとめられて、
着る男の子のうぶさを上手に、クールにデザインし、そのバランス感は正に、「HARAJUKU・
BOY」で旨い。
3年振りに開かれたこのコレクションは大川ひとみのファッションへの思いとこのブランドの
ファンへの愛と経験があの様な若さと楽しさ溢れるコレクションを生んだのだろう。
フラワー&フリル、オプトパス、マーメイド、ナース、パジャマ、スケーターにサンタまでの7つ
程のシーンで展開されランウエー。僕はオプトパスに驚き、スケーターも好きでした。
演出もうまいしキャスティングもいい。レディースにもメンズにも幾つかのアイテムは新しい
アイテムのデザインに「進化」が見られる。トレンド素材のメッシュを使ったロングカーディ
ガンやブリーチ・デニム素材でのおしゃれなストリートウエアー、ミュールを含めたシューズや
バッグ等など。「スタイル+ファンクション+プロテクション」を今の若者感覚として、
どれだけ「緩く」バランスに気をつけてシンプルにまとめるか?のさじ加減とビジネス感が
やはり、玄人である。この彼女の旨さにはアンダーカヴァーの祖型が見られた。
本当に、このお歳で愉しい世界をクリエーション為さっている。
ここで気がついたことは大川ひとみと東コレやコンテストに始終している「後出しジャンケ
ン」&「壁紙デザイナー」たちの違いはどこに所在するのだろうか?
それはデザイナーの経験値もあるだろうが、結局はどれだけ、街のリアリティを体感し、
「服を愛しているか?この服への想いを誰に届けるか?どんな気持ちで着てもらえるか?
そして、着る人を思うこと、」などが変わらぬ若さとユーモアそして、バランス感覚の旨さと
時代感の表現力に現れるのであろう。そして、継続可能なビジネス観に由来するのだろう。
ただ、私利私欲と自己満足を小さな虚言を発言し、ファッションのステージへ乗せるだけで
デザイナーぶっている輩との「未熟さ」が感じらた、ユーモアとセンスのいいおおらかささえも
溢れていた今回の「MILK & MILK BOY」ショーでした。
最近ではファッションに目覚める年齢がより、若くなってきた。
小学生高学年になるともう自分の着るものへの欲望が生まれる豊かな時代で在る。
しかし、現実は国民的衣料品ユニフォームのユニクロやSPA系の安価な「壁紙ブランド」などに
親たちは始終したファッションをお仕着せさせてしまっているのが多くの現実であろう。
この現実への一石を投じているのが大川ひとみのリアリティであり、これが彼女の変わらず
好奇心と若さを育んでいる根幹であり今回のコレクションにも繋がったのだろうと僕は感じた。
彼女のファッションこころと眼が感じた、「今、私がやらなければ!!」と言う念いと、
「この世代の子供たちが輝かなければ、輝く大人は生まれ難い。」と言うファッション観。
なぜ、イタリアはまだ、「ファッション大国」なのか?
それはこの国の親たちが変わらず、子供にオシャレを惜しまないでいるからです。
「ありがとうそして、ご苦労様でした、ひとみさん、スタッフの皆さん。」
文責/平川武治:
投稿者 : editor | 2018年12月15日 18:48 | comment and transrate this entry (0)