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LE PLI vol.0-no.08/ APRIL 20th '05 Published
部数=44部
頁数=9枚
目次=[collection report]mintdesigns◆JENEVIEVE◆YUKI TORII INTERNATIONAL
[diary]Edwina Horl
[gaze of them]東コレ日記 たまご達のまなざしIV
pp.02
●collection report mintdesigns
幸せに包まれて・・・・
久しぶりに幸せを感じたコレクションだった。
その理由1
「包まれている幸せ」、包むというテクニックを上手に使っていた。その他“巻く”・“しばる”・“ねじる”・・・・・と。でもやり過ぎずいつも体を意識して、パターン的にも日常の動作を考慮している。
その理由2
色彩・カラーコーディネイトの妙。淡いグリーンに合わせたあずき色(赤むらさき)となす色(青むらさき)の組み合わせが特に美しかった。その他、イエローとホワイトとグレーといったトーンも軽やかだった。
その理由3
素材がやさしい。最近特に思うのだが、秋冬であっても厚手の素材は要らないのでは?特に日本は尚更、1年の半分は夏なのだから、薄手のニットやシルクのトップスこそ通年アイテムであるはず。だからそんなアイテムを上手にデザインしたブランドが1年を通して確実に売り上げを伸ばせるはず。
その理由4
着た時のバランスが人を美しく見せることができる、つまりそれは嬉しいことである。ボトムとトップスのバランス、身頃丈と袖丈など美しさを決めるバランスは色々あるがこのコレクションは特にトップスの丈バランスが美しいと思った。
さて、「これだけ褒めたのだから、あなたは勿論買うのでしょうね?」の質問に私は
「はい、このシーズンは是非店に足を運んでみたい」と答えます。
最後に、インターナショナルに様々な経験を積んだミントデザインズにだからこそ敢えて一言。
これがパリのコレクションだったらどうだろう?
パリジェンヌは言うでしょう「ミニヨン(カワイイ)」と。でもはたして「トレ・ジュリー(美しいわー)」と言ってくれるでしょうか??
日本人に似合う「なんとなくノスタルジック」を、もう一歩超えてほしい。
投稿者:TAMAKI
開催日:04月19日
ブランド名:mintdesigns
デザイナー:藤井北斗 八木菜央 竹山祐輔
会場:桑沢デザイン研究所旧校舎(旧赤坂小学校)
pp.03
●collection report mintdesigns-2
DAIAMOND is a forever.
少しずつ、成長していくブランドを見ているのは楽しみである。
先シーズンより、今シーズンはコンセプトもしっかりしていて時代性をも反映したそれがいい。最終的なコンセプトは「ソフト・プロテクション」とでも呼べるもの。
このブランドらしい発想でほのぼのとまとめられているが、一体、一体のコーディネートアイテムはなかなかインテレクチュアルな構造と仕掛けで華奢な身体つきをここでも優しい色合い、淡いオレンジやグリーン、サーモンとイエロー、グレーそれにプリントで持って、包み上品で穏やかなシルエットの服を作っている。
「包む」「ラッピング」「カヴァーリング」。
身体を、心を、気持ちを包み気分を表現している。
何よりも、自由な発想とそれによって出来上がった服に品があるのがよい。「豊かな時代の普段着+アルファー」に仕上がっていて、彼らたちがある種、得意とする「新しい時代観のホームウエアー」の匂いも残っているし、楽さがあり時代の気分としてグランジをさりげなく出している。又、仕立てのよいヘリーンボーンの細身のパンツとジャケットはお洒落で品の良い人なら年齢を問わず着てみたくなベーシックなもの。だから、パターンが旨く引かれ美しく仕立てられたスーツだった。
他の多くのブランドのように、東京トレンドを無理に前に押し出さずにこのブランドらしさで少しずつ大人服へと進化して行っているのが僕は好きだ。今シーズンはニット、カットソーが良くなり、幾つかのディテールの組合わせで新鮮さも感じられる。無理をしていない、腹八分目的なディテールのこなしとコーディネートにも好感。
難を言えば、もう少し、素材のミックス・バリエーションが在ってもよい。
ある意味でこのブランドはミニマリズムが好きなのであろうか?素材に関してはいつも単調すぎるようだ。
それにシルク・プリントがひと型とダイヤモンドリングのプリントがひと型。どうだろう?効率を考えてやっているのか?靴は3型ほど出ていたのに。
次回のコレクションへの宿題は「毒気」がほしい。
何であれ、ミントらしい毒気がわきまえられればもっと、強くなれる。
例えば、このブランドが「セクシ−」を加え持ちえれば、想像がつくだろう。
以前からこのブランドはセクシーには皆目興味がないのであろうか?
文責:平川武治
開催日:04月19日
ブランド名:mintdesigns
デザイナー:藤井北斗 八木菜央 竹山祐輔
会場:桑沢デザイン研究所旧校舎(旧赤坂小学校)
pp.04
●collection report mintdesigns -3
コレクションは昭和の50年代、60年代の日本がモチーフになっていた。それを現代的に解釈するというのがデザイナーの狙いだろう。この時代をソースに持ってきたところに彼らの独自の視点が感じられた。ものもよくできていたが、正直ショーの途中で少し、飽きてしまった。
今回彼らは昭和をモチーフにして、それを表現するために手ぬぐいや風呂敷をコンセプトに持ってきた。それはつまり「包む」ということで、それが随所に見て取れた。
ほっそりとしたラインに、ミントグリーン、エンジ、グレーの色。そしてグラフィカルなプリント。ラッピングされた靴。どれもコンセプトからの飛躍が見えて面白い。
だが、なぜか見ていていまいち楽しめないのだ。きちんと全てが、構築されたものづくりがなされているのだが。
服作りに真面目すぎるがゆえに今の時代のファッションが持つもう一つの側面、つまり、このブランドでしか出せない、快楽がなかったのではないか?
そうした俗っぽさを巧みに潜り込ませるバランス感覚があればよかったのに、と残念な気持ちであった。
投稿者;Yoshi M.
銭湯から出てきたような雰囲気のコレクションだった。作り込み過ぎないヘアメイクと、春のぬるい風をはらんでゆれるシルエットの服からの印象なのか。
大きいプリント柄は健在で、例えばOLがコーディネイトに大柄プリントの服を取り入れたりすると、スタイルの良さをアピールする事と別の魅力を放てるのにと思う。
ミントデザインの服はカジュアルに着こなすより、コンサバティブな服とコーディネイトしてこそ、その良さが引き立ち、現在のセクシー路線のマス市場に一石を投じるエッセンスが光ると思う。
プリントテキスタイルに包まれたバッグ、靴たちはとても楽しいので、しっかり量産して欲しい。もう少し体数が、またショー演出があると、”あるがまま”以上の何かを感じられる気がした。
投稿者:K.H.
開催日:04月19日
ブランド名:mintdesigns
デザイナー:藤井北斗 八木菜央 竹山祐輔
会場:桑沢デザイン研究所旧校舎(旧赤坂小学校)
pp.05
●collection report JENEVIEVE
あー、体の中の血がドロドロになっていく。
ちょっと、苦手かもしれない。決して「黒が嫌い」とか、「レースが嫌い」とかではない。でも、この重苦しい空気はなんだろう。
いけない、いけない、ほんの一時でもジャーナリストの真似をしているんだ、そんなことではだめ!!
然し、この「柄on柄」も「レース+ファー」の組み合わせも理解の範疇外である。ジャケットの背中についたワッペンはいったい何?
分かったことは、このコレクションのインスピレーションの背景には60年代のBIBAがあること。そして実は日本のマーケットにおいて、結構この手の「ヒラヒラ好き」な人は多い!という事。
投稿者:TAMAKI
昨シーズン出せばクリエーター?
今シーズンはただの売れ線狙い! バイヤーズ・コレクション。
文責:平川武治
開催日:04月19日
ブランド名:JENEVIEVE
デザイナー:藤岡純子
会場:CIBONE AOYAMA(青山ベルコモンズ)
pp.06
●collection report YUKI TORII ONTERNATIONAL
いわゆる「大先生」のショーである。今回は三十周年ということで盛大なものであった。
会場は代々木第二体育館であったが第一体育館に達するほどの客の長い列。体育館の中には芸能人から商社から何から、様々な水辺から花が送られて飾られている。
会場もかなり大掛かりなものだ。巨大なライティングスポット。真っ黒に塗られた長いランウェイ。ほぼ満員の来場者はさすがパリコレの鳥居先生だと思うだろう。
僕が座っていた隣にはスーパーモーニングの担当者が立っていて、何やら打ち合わせをしていた。すぐ後ろにはカメラクルーがスタンバイしている。「ヒャッホー」と奇声を発するあたり、他のメゾンとはまるで違う。
開始までしばらく時間があったが、その間ドン小西が入場。遠くに見えるのは神田うのか?こうした場所で「セレブリティ」という人たちが生まれるのだな、と思ってしまう。
お分かりだと思うがコレクション自体はただのアパレル。音楽は六本木の外人ディスコでかかっているようなR&Bやレゲエだ。服はコンサバで、テーマは何ですかと問いかけるこちらがばからしくなる。
モデルはほとんどがパリコレでみるような正統派美形。素人大喜びというところだ。だがモデルはこれでお金もらえて良かったナーという顔を隠せないでいる。
ショーはクライマックスに近づき、鳥居先生のクロニクルが大スクリーンに照射される。すると緞帳がするりと落ち、過去に先生のショーにモデルとして参加した男性有名人が大集結していた。
スタンディングオベーション、拍手喝采で幕を閉じた後に会場の外では、素晴らしかった、すごかった、とケータイ片手にいっている声がちらほら。
ファッションというよりは、政治、水商売、オンナの世界を見に行ってきたようだ。
投稿者;Yoshi M.
開催日:04月19日
ブランド名:YUKI TORII INTERNATIONAL
デザイナー:鳥居ユキ
会場:国立代々木競技場第二体育館
pp.07
●東コレ日記-たまご達のまなざし IV
mint designs 桑沢デザイン研究所旧校舎(旧赤坂小学校)
FCとFBへの意識
このブランドは回を重ねるごとに、市場への落とし込みをいかに自分たちのクリエーションを維持したまま行えるか、しっかりと意識してきている。結果、FC(クリエイション)とFB(ビジネス)が良い緊張感を保ちつつ仕上げられていた。何より、自分たちの世界観がしっかり創られている。
始めに、会場案内人の姿。「SHOW」とだけ書かれた白い紙だけを手に、ブランド名は何処にも書かれていない。ただ、ミントの服を着ている。ここが大事だ。ミントの服と一目で分かる、ミントのショーだとすぐ分かるのだから。
そして、ショーが始まる。
音がし始めて僕がミントの戦略にはまるまでには、さほど時間は掛からなかった。一瞬だ。何処のブランドも考えつかなかった穏やかでゆったりした曲。ミントの時間と空間に引き込まれた。なんてセンスの良い選曲だろう。服には自由があった。着る自由に、見せる自由と見る自由だ。今の軽さとは、こういうものを求めているのではないだろうか。やたらめたら、シフォンやジョーゼットなどで透かしてみてもお門違いだ。絞って、結んで、開いて、流して。トーンを抑えた絵画的な色使いの上手さ、今回も興味をそそるプリント。
時折見せる大胆な構造、優しい着心地。着てみたい。あのジャケットをもっと近くで見たい。ショッピングバッグの様なあの色使いは何だろう。
テーマは「袋」と聞いたが、僕には風呂敷の包むや縛るの印象が強かった。最後の辺りで出てきた、変に袖で遊んだジャケットが少し気になった。これからを提示するものなのか、あそこだけ浮いた。全体のクリエーションは程よく、少しの不安はこれ以上市場向けに下げる事は危険であると思うこと。とは言っても、会場を去る人々は皆にこやかな表情だ。僕もそう。楽しめたか?と聞かれたら答えは決まってる。
「楽しかった。」
デザイナーの3人と前に会った時、僕は職人の瞳を見た気がした。次も楽しみにしてます。勝井さん、八木さん、竹山さん、ありがとう。
投稿者:T.N.
pp.09
●LE FIGARO紙(2005年4月20日)より
「流行は夭折する。
さらばこそ、
流行にはあんなに重い軽さがあるのだ。」
/J.コクトー「大股開き」より
投稿者 : editor | 2005年04月20日 19:17 | comment and transrate this entry (0)