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LE PLI vol.0-no.04/ APRIL 13th '05 Published
部数=28部
頁数=7枚
目次=[collection report]ゴーシュ◆ILIAD◆KAMISHIMA CHINAMI
[gaze of them]東コレ日記 たまご達の眼差し
pp.02
●東京コレクション速報紙「Le Pli」再発行の趣意
10年ほど以前に、この「Le Pli」紙を東京コレクションの私的眼差しの速報紙として発行した経験を再度、今シーズンの東コレより再発刊しようと考えました。
ファッションを取り囲んでいた時代と環境の全てがまったく変化し始めた現在です。経済、社会、生活と政治さえも、それらがもたらした「戦後の豊かさ」が一様に「新・中間大衆」たちに享受されたという時代性。
当然、この現実の裏側に存在している価値観も、戦後日本を現在のような社会性、経済性へと導いてきた「将来志向、効率志向、仕事中心という『道具的手段主義 Insturumentalism』の価値は衰退し、それに代わって、現在中心、情緒志向、快楽志向、私生活中心的な『即時的快楽主義 Consummatorism』の価値が現在の私たちの新たな日常性を支配し始めています。(*1)
この様な新たな「豊かさの日常性」はグローバリズムの高度な全世界的構造化によってより、進化をもたらしいわゆる「21世紀のリアリティ」がやっと、現実的に僕たちの日常生活環境で始動し始めたという機・気を大切に、ここでもう一度、東京におけるファッション・デザイナーの世界へ、何のしがらみもなく、持ちえた情熱と感情と学習してきた経験を本質とした「21世紀スタンダード」を基盤に考えながら、永年からの低温火傷状態の現状・東コレへ新たなる一石を投じようと決心しました。
そこで、この東京コレクション速報紙『Le Pli』は、
編集テーマ:「なぜ、東京のモードは文化の領域へ達し得ないのか?」
編集コンセプト:「ラジカルな読むジャーナリズム」
編集視点:「クリエーション、エステティック、インテレクチュアル、エモーショナル
そして、ウエアラブル」
再発行の意義:「独創性、現実性、辛辣性そして、速報性と人間味」
これらを基盤に今シーズンの東京コレクションを平川の私的レベルと方法によって発行いたします。
この一石を投じることによって、願わくは東京のモードが文化の領域へ一歩でも近ずけばの大いなる思いを込めて。
責任編集;平川武治 平成17年03月
(*1) 出典:「倫理としてのナショナリズム」 佐伯啓思著・発行NTT出版。
pp.03
●collection report ゴーシュ
冒険へ出よう!!
良く、がんばっているブランドである。
もう、5年目になるという。
一生から独立して2人でこのブランドを始めたときに見せていただいた。
同じような情況を持っていたデザイナー、清家君からの紹介であったことを覚えている。
いろいろ、当然であるが、試行錯誤を繰り返し、自分たちでリスクを背負ってここまでやって来ている彼らの今シーズンは真面目過ぎる。
今シーズンはルーズなシルエットから逃げ始めた。
上ものはいわゆる、ちびシャツ的なボディーフィット、ショートなシルエットである。
素材も製品染め加工を施したぬくもりを感じるもの。しかし、同じような無地ものとone素材。
丁寧な縫製、特に肩ものが好い。ジャケット、コートは仕上げもうまく仕上がっている。
しかし、このままで行くとこじんまりとしたもの以上の世界は望めない。
「冒険」へ出かけてほしい。
新たな広い世界を思い切り思い、「冒険」を!!
背負えるだけのリスクを自分たちで背負って来たのだからこれからも怖くわないであろう。彼らが作る服に自分たちならではの特徴をもっと強調できるものを持つべきである。
5年目で年商、3千万のレベルでは僕が見ても、不満足である。勿体無い。これだけのことが出来るのであればもう少し、プロ的営業活動をするスタッフを入れて世間の連中のように上昇志向を持つべきであろう。
直営店を持ち、かろうじてどうにかやって行けることの、微温湯に漬かるよりも、ここで、新たな時代が来ているのだからもう一度、ポジティブに窓を開いて時代の新鮮な空気を吸うべきである。ファッションとは自由で心地良いものであることを。そのときには、「現実」というリアリティと自分たちのスタンディングポジションをしっかりと見つめることに答えがあるはずだ。
服つくりへの心と思い込みとまじめさを買うのでもう少し美的な我を張って欲しい。
文責:平川武治
開催日:04月11日
ブランド名:ゴーシュ
デザイナー:泉 克宜
会場:恵比寿 直営店
pp.04
●collection report ILIAD
ブライアン・ジョーンズは何処へ
帰国したときには彼のショーは既に終わっていた。
先シーズンを思い出すと、素材に偏りがあって折角の彼の世界観が片寄っていたことを思い出しながら今シーズンを見せてもらう。
育ちの良いメンズである。
ロンドンのテーラリングが好きであるという。学生時代には学校へ行かず、サビル・ローへ出掛けていたらしい。今シーズンはこのデザイナーのある種の育ちとナイーフさが全体に控え目に出てしまったコレクションであろう。その分だけこの東京では珍しい、穏やかなメンズ服になっている。
ブライアン・ジョーンズから始まったイメージは彼と同じように、途中から何処かへ消えてしまった。その分だけ、今シーズンのコレクションからは音が感じられない。もしかしたら、迷ったのだろうか? 自分がデザインする男服が日本の現在ではどの様な男が着るのだろうか?果たしているのだろうか?この辺りで迷ったのであろう。
スリムなトップスにロングなボトム、それらにビッグなインナーとしての彼自慢のT-シャツがワンタイプ。ワイド・ショートなトップスとビッグなボトムスとシャツ。これらを組み合わせたシルエット群、ブルーゾンにラビット・ファーのショートコートまでも何処か、おとなしさをも感じる。結果、「ストリート・モダーン」の領域。それに、ニットアイテムが少ない?まず、ブランドイメージを強烈にシャープに出すべきであろう。早い時期に。巷は「ド・派手、成金、表層」的なる男服が間違ったゲイ感覚でメディアやマスコミに受けてしまっている業界の今。
[STYLISH BABLE]は思想無きNEW!!
辛うじて、彼らたちはスタイリングというオールド・コロニアル的発想で逃げ足が速い。
彼はこの辺りで道を失い掛けたのだろうか?
大丈夫。慌てる事は無い。自分のエヂュケーションとエクスピリアンスを信じ、自分を思い信じて自分自身の位置さえ間違わず、忘れなければ大丈夫。
君には時間が未だ沢山ある。
僅か3,4年でダメになってしまうブランドにならなければ良い。
文責:平川武治
開催日:04月11日
ブランド名:ILIAD
デザイナー:野田源太郎
会場:LAUNE Galerie
pp.05
●collection report KAMISHIMA CHINAMI
The designs are not an only addition.
古いタイプの生真面目なデザイナーである。
今、この様な時代に在って「新しいさ」を生み出すためには「クラッシクな技術や手法」を新しい時代にチューニングされたコンセプト、発想にどの様に使うか、使いこなすかが大切な視点である。今シーズンの巴里でも結果、この眼差しが「クラッシック/ロマンチック」的なトレンド性を生むまでに至ったと言える。
装飾性を排除した上での装飾。
末梢神経を排除したところでの中枢神経のデシプリン。
これは、シルエットにおけるバランス感と素材感でしか表現できないであろう。
これができれば、本当のプロである。
「クラッシックな技法、手法」を古いコンセプトに使うと古めかしさ生まれないし、新しい技術、手法を新しいコンセプトに使っても今の時代の新しさは生まれない。良い例が、デジカメである。誰が取っても鮮明な、ピンボケの無い映像が撮れることの恐ろしさを感じてみよう。これが、現代における「豊かさ」の現実の一端であるからだ。
このデザイナーが自分のスタンディングポジションを今に時代へプラス思考で生かすと
すれば、グローバリゼーションに対しての「ローカリゼーション」を、それも自分のなかにあるこの発想を自由に豊かにポジティフに使えるまでにデシプリンしてゆくことであろう。
コレクションで見られた幾つかの「縛る」という行為が、コルセット的アイテムやヒールまで、このデザイナーにとって感じられた今シーズンにおける新しさだとした眼はある。「縛る」ことそのものを装飾性にまで完成させば良い事である。
文責:平川武治
開催日:04月11日
ブランド名:KAMISHIMA CHINAMI
デザイナー:カミシマチナミ
会場:スパイラルホール
pp.06-07
●東コレ日記-たまご達のまなざし
hiromichi nakano ラフォーレミュージアム六本木
良いショーではない気がした。音も服もモデルの動きもバラバラに感じた。トレンドの素材を使って、リゾート気分のカラーコーディネートで軽く仕上げてあったけれども、重系衣料が少なかった。顧客・バイヤーに対しての販売目的のショーの様に思えた。
約28分という長いショーだった。その分体数が多く、あまりまとまりのない感じになったと思う。お金は掛けてたと思うが、金額を掛けたからといって良いショーが出来る訳でもないという事が分かった。
Kolor 森京ビル6F <展示>
素材とパターンの組合せに真摯に取り組んでいて、こだわりを持った優しく暖かみのある服づくり。レディースも良かったがメンズの方が好きで、どちらかと言えばメンズの方が素材の使い方が上手かったと思う。デザイナーの人柄が表れた服だった。
TOGA 恵比寿TOGA Office
デコンストラクト。森に引きずり込まれるような感覚。変わらぬTOGAの魅力。別珍、革、ベロア、シフォン、コットン、ウール等で、鎧のような硬さと張りから崩れ落ちて溶け出すような柔らかさと薄さが一体一体に盛り込まれ、それぞれのお話が全体のストーリーを造り出している。王室の絨毯、カーテンの様な素材まで、緻密にアーティスティックに接ぎ合わされていた。10人10体の服。とてもスマートにメッセージをまとめ上げた面白いショーだった。着崩し方は上手いなと思ったけれど、余韻としてなぜか古臭さが残った。
FUMIO 青山MODAPOLITICA 1 <展示>
ネットフューチャーから出て来たようなハイパーネッチャー。素材や加工からそう感じ、パターンがそれを構築していた。着せられ、並んだマネキンは皆裸足。パターンの精巧さがボリューム・バランスを上手く造っていた。 テーマに沿ったベーシックラインだったが、全体を通して見ると、途中どこかすっぽかした様な物足りなさを感じた。
ILIAD EBISU303
演出と音が上手いと思った。パンツの後ろポケット位置を通常よりも下げていたり、ギャルソンの様にパネルラインで遊んだり、色使いも面白くて、着てみたいと思う服がいくつかあった。精神的な部分は、昨シーズンの方が面白かった様な気がする。メンズの難しさを感じた。
約14分間のショー。電光を使ったベルト、ダサい。
TAGO 渋谷SpaceEDGE <展示>
服を着たマネキンの座る、貴族の食卓。意図的に置かれてあるような机とその上の本。空間と雰囲気が上手く合致していた。 社交的でゆったりした少し高貴な、でも少しパンキッシュ。着易く着心地が良さそう。見た事あるパターンで造られていた。アイテムと素材によっては、表よりも裏が大切になってくるのではないだろうかと思った。
T.H.D La maison クエストホール
古臭いピンクと白の’60年代風の服からスタート。撥水加工などを施した服も、小物が大きさやバランス共に悪く、邪魔をしている。白紺の組合せのコーデュロイは好きだったけど、その後はピンクピンクピンク。フリルの取り方があまり好きではない。後半よりも前半の方が良かった。黒いシックなラインには違和感。もっとポリとか撥水などが見たかった。
RITSUKO SHIRAHAMA アメリカンクラブ
縮絨やラミネート、樹脂、起毛とシフォン、オーガン、ソフトチュール、レース、ウール、シルク、レーヨン、タオル地、ラムの様な革。ブーツとのアンバランスさが目立ったように思う。後半の始めは好きだったが、終わりの退屈さはどうしてか。着崩し方がギコチナク、そうして音がずれて来た。
約14分間のショー。8つのシャンデリアが引き上げられて、怪し気な音楽が流れる始まりの演出は面白い。中世の恐怖の館を連想する。 大きなリボンが付いている作品が多々あったが、あれは可愛らしさを出す為の物なのか?シックな服と合っていないと思う。
sacai ウェスティン東京 <展示>
キュプラで一度カーゴパンツに仕立て、さらに縦に裂き崩してスカートにしてあるが、意味が分からない。ビーズ、スパンで装飾したニットカーディガン、切りっぱなしのキュプラスカート。フリンジ、シルクのブレードやウールのニットレース、大きく開けたフロント・バックのネックライン、落としてマチを付けた袖が印象的。所々でバランスが違う気がする。トレーナ・パーカー地との組合せは面白いと思った。結果として似た様な服をいくつも見た事があり、まるでマルタンを思わせた。僕が女だったら買わない。ボディーへの着せ方が悪い。
Kiryukiryu 恵比寿STRAMA <展示>
トレンドを意識しない、何処のお店にもない様な自分達の服。そう言われたが、ただの過去の産物にしか見えない。メンズで今時こういう服を着る人は、大昔のビジュアル系ミュージシャンが好きなほんの一部の子達だけだろう。レディースも何ら問題なく、却って珍しい。市場リサーチをしての事なのだろうか。
WHEREABOUTS 代官山ショップ <展示>
着てみたいものがいくつかあったし、素材が良かった。テーマ「smooth」を想像する事も出来た。切り替えの使い方には好き嫌い、上手下手を感じた。アウトローとヒッピーな印象。ヘリンボーンなどの織りの細部に、こだわりを覗かせる。かっこいい。ゴブラン、ガンクラブチェック、フェルトへのプリント、アーガイルチェック、ラミネート、樹脂コーティンングが印象的。
UNDER COVER CARATO71 <展示>
素材作り、使い方が上手く、面白い。ショーの映像を見ても、やりたい事に迷いがない。今の高橋君は、ベスト・コンディションに思える。でも、まだ先があるのだろう。東コレ、僕はもっと頑張らんとイカン。アイディア、作り方、バランスはとても好き。ただ、僕には少しMADが強すぎる。ずっとこのMADなテンションをキープする事は、僕には出来ない。高橋君は日本のイガイガだ。メンズは言うなら「悠」。部屋の温度差さえも、レディースとの差異を感じさせる。デザイナー自身が着たくて、似合う服だと思う。ポイントを押さえ、男受けのする服。ベビーライン、小物、アクセサリーに至まで、きめが細かい。本当に音楽が好きなんだなあ。ロックでMADでモスキーでパンク。高橋君感謝。
io yukomurata’Ta io表参道店
乗馬ルック。狭い所でも良く出来たショーだった。カラーは嫌いじゃないが、コーディネートは少しオバさん臭いものが何点かある。ラストの方でなぜ、膨らみと張りを持たせたチュールスカートが出て来たのだろう。ボリュームとバランスも、何処かの真似としても、使い方を間違っている。少しパターンに違和感があったが、ショーは、狭い所でも可能性は無限大である事が分かった。
約11分間のショー。コンセプトは英国乗馬スタイルだろうか。細身のシルエットが多く、普段でも十分着れるものも多い。しかし、最後に出てきたチュールボリュームのスカートとアンダーバストから段々に下に延びたスカートは余計だったと思う。それが無ければこのショーはきれいに終ったと思う。もったいない。
TAISHI NOBUKUNI 国立霞ヶ丘競技場
つかめなかった。一体なぜこの会場でこの演出なのか。観客はバックスタンド下の半地下室から少し曇った窓を通して、腰をかがめてトラック脇を歩くモデルを目で追った。一定のスピードでどんどん出て来るが、この距離と視界で素材もパターンもよく見えない。モデルの足に付けられた錠からエナメルコードが延びている。まるで、室内のこちらか外のあちらが囚人か奴隷の様に感じた。1回にトッラクの反対側まで行くのだから、モデルの数は相当なものだった。スポーティでエッジ−な男達へのストリート。コロシアム。
myein プーク人形劇場
幼い頃のお遊戯会を思い出す、優しい造りの会場。クリエイティブなショー演出。 乱雑に走るギャザーとフリル、ぐしゃっとつまみ出したスカートが印象的。左右の袖つけのバランスが少し違う。アシンメトリーにするなら、しっかりした方が良い。あれでは中途半端に思う。中頃の上下のバランスは良いのだろうか。シルエットが寸胴で変化がなく、今の女性はこういった太く見える服を好むだろうか。ニットの組合せものは好きだったし、上手かった。6人のモデル。ラストのジャケットは良かった。ロマンチックで気長なショーだった。
sunaokuwahara スパイラルホール
白と黒を基調にしたレース、フリル、シフォン、ジョーゼットで始まり、紫、ピンク、赤、藍、灰、茶と変化。ゴブランのジャケット。スパン、ビーズ装飾。ニットレース。1つ違えたらただの継ぎはぎに見える所を上手く崩している。見せる所と踊らせる所の違いが良く付いていた。デニムパンツはいらない気がする。メッセージ性のあるショー。もう少し流れに変化が欲しい。素材好きの直さんらしいショーだった。会場が真っ平らでなかったらと、思った。
TOKYO RIPPER 渋谷spaceTRE <展示>
これまでで、一番規模の小さな展示会。レースのドルマンスリーブ・ジャケットは、もう少し研究が必要。デニムパンツのセンターバックがずれていて、その分履いた時に余ったり、カットソーのネックラインが2重構造でずれる。染めはつまらなかった。服と同素材を貼った靴は面白かった。社員が皆お菓子をつまみながら雑魚になって、世間話に夢中な展示会。その程度。
NOVESPAZIO 1°primo 東京国際フォーラム
白黒のモノトーンが基調。トレンドの素材で、スパンやラメをあしらったシースルー。ビーズや光り物、へムのボンボン、上下の素材の組合せ、色のバランスがオバさんっぽい服。デパートの商品売り場の様なショー。音合わせが悪かったと思う。終わりに近付くにつれて、過去のプラダの様な服。つまらない。ラストの方で、赤やオレンジの遊びのある服が出て来てようやく始まったような気分。素材に変化がないのなら、パターンでもっと遊びを付けなくては。
HARDY AMIES クエストホール <展示>
どんなブランドなのか知らなかったので行ってみた。行く必要はなかった。僕は、この手のブランドが一番嫌いだ。
Mon tsuki 霞ヶ丘ラグビー場バックヤード
ついストーリーを連想して、見入ってしまった演出は面白かった。灰、ベージュ、茶を基調に、水色、ピンク、白、黄色と変わっていく。思い切りの良いものとそうでないものがある。途中、箸休めのように感じた何点かはそうでないもの。色使いは好き。スタイリングに少し違和感があった。もう少し、着崩すのかそうでないのかはっきりとして欲しかった。まるっきり、日本人向けのように感じた。フィッシングからのアイディアは面白かった。
コムデギャルソン 本社ショールーム <展示>
どこまで服の中を抜けても、どこまでもオリジナル。素材の組合せ、使い方が上手く、面白い。決して争っているのではなく、まるで布と戯れ遊んでいる様な造り。つくり手と布との信頼関係が築かれている。プリント、加工、織りの技術による、あらゆる工場との信頼と実績が向上。戦略は今また、盛り上がりを増している。パターンの凄さ、面白さ、発想、転換。仕事に取り掛かるスピード、仕上げるスピード。それ故に可能な試行錯誤の回数。一生懸命が心地よいスピードに乗ったらこうなれるのだろうか。ショーの映像から感じるのは、平川さんの言われた「服が全て」と言う事。演出も粋を極めれば、スリムで芯のつまったものになり、それだけに強い。フロアショーは、神経がぶち切れそうになりそうだ。ともかく、僕は鼻を一杯に広げて息を吸った。もしも息が止まっても、体の中に空気があるようにと。バランスをとるポイントがやはり高い。会社の培って来た魅力が、社員同士に、社員の方々とお客さんとのコミュニケーションに感じた。やっぱり大好きなブランドだ。
SATORU TANAKA ハリウッドホール
メンズの方が、シャープに仕上がっている。シンプルなパターンにシンプルな素材。上がボリュームのある明るいものを使う時は、下ものの色使いに気を付けなくてはいけないという事が分かった。膨張色を持って来ると、バランスが悪い。レディースは、素材を活かしきれてない気がする。メンズの方が荒っぽいけど好きだった。途中の緑と灰色のカットソーは、全体から浮いて見えた。
KOSHINO HIROKO ガーデンホール
ゴブランの和を思わせる赤いコートの下から、ブリティッシュなベージュや灰色のスーツが出て来たのは面白かった。素材、色へのこだわり。服をひとつのアートとして捕らえているような、コシノワールド。茶系の枯れ葉色でまとめたラインは、少し丈がオバさんぽく感じた。 和とブリティッシュ、東洋フューチャー、都会、水色マーブルチョコ、中国やチベット、コシノワールド。バリエーションよりも、次々と変化で見せてくる。カラフルからモノトーンへ。長いショーだったのか、そう感じたのか。場面変化も多い為、伝えたいコンセプトがなんなのか分からなくなった。良いショーなのにまとまりがない。
ato リキッドルーム
ブラックダイヤモンド。昨シーズンよりもレディースが良かった気がする。そのレディースは拘束感が強く、ポイントも胸下近くまで上がり、ボリュームのあるものも細く着こなして、シャープだった。メンズはボリューム共に分厚くナローな感じで、とても挑戦的。レディースのカットと丈が少し気になった。ラストにランジェリーっぽい服で遊びを入れたが、シフォンでラグジュアリーに、レーヨンでセクシーに、少しずつ穏やかさを取り戻しながら終わった。良かった。
約17分間のショーで全体的にまとまりがあってきれいな流れだったと思う。カマーバンドをベルトにしたものか、ジーンズと合わせ、良かった。少しダボっとしたパンツはいかがなものか。(花輪)
TOKUKO1erVOL ガーデンホール
コットン、サテン、ウール、シフォンなどを使った民族衣装。中東、東洋アジア系の色使いとモノトーン。ソフトチュール、ニット、エスニックなビーズやスパン、プリント。前半は楽しかった。メッセージ性のある演出で展開、見せ方が上手かった。装飾とのバランスが良かった。ウエスト下の余りが少し気になった。後半はシックに落ち着いたラインになり、楽しみが減り、顧客意識の服が何体か出てくる。黒色のドレス等は、前半と比べるとシャープではない。バランスがだんだん崩れた。色でバランスがとれない分は、パターンが大事だという事を感じた。
以上、2005〜2006東コレA/W show & exhibition Report です。
今回見て来たものについて思った事、感じた事を素直にそのまま書きました。
ありがとうございました。
/長井・花輪
投稿者 : editor | 2005年04月13日 16:59 | comment and transrate this entry (0)