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ある友人への手紙。巴里、オムコレクションS/S ’12から、

 ”家の外にないものは どんなに遠くに行ってもない”、
 ”たいせつなものはもうすでに持ち得ている”
 映画”オズの魔法使い”の主人公、DOROTHYの言葉。

 やはり、『僕たちの世代が、あの時。』と言う感が拭いきれずに
巴里へ来ても考え込みます。

 今回のこの企業事故は僕たち日本人がこの21世紀と言う時代に享けた”神の啓示”。
確実に”新しさ”が変わり、又僕たち、体験者が変わらなくてはいけないと。
僕たちから”世界へ発信出来る”ものが、ここで初めて見えて来たはずです。
ここに僕はこれからの日本の若い人たちの可能性を観ております。
『しってしまった事に対して、何をし無ければ!!』と言うこゝろの在り方が大切です。
“新しさが変わる”と言う事はただ今までのような見えている部分だけではなく、
当然ですが、『こゝろの在り様』が変化する事です。
この変化を感じた”こゝろの在り様”を
どのようにそれぞれが今後の生業に対して『行為』してゆくか?
僕は歳を取ってしまったからなのでしょうか、
『自心の、こゝろの在り様』を自分の行為にする事に徹したいと。
そのためにはどのようなことを学びどのような時間を過ごすべきか?
どのような人たちと関係性を持って行けば良いのか?
何を美しいと感じられればいいのか?

 “新しさ”が変わる事とは“モダニズム”が変化する事、
即ち『近代』が変わらなければと言うまでの発想が在ります。
『近代性』が”あいまいさ”に変わってゆかない事だけを祈っています。
曖昧さが継続すれば、またあのような事故が起ります。

 このような視点で今回のコレクションに接していますが、
この答えはなかなか、すぐには出難いもの。
又、出す事に躊躇してしまう事も。
ここに『勇気ある決断』が必要ですね。
しかし、ここに確実に僕たちの今回の体験が新たな可能性を産み出せると言う
『こゝろの在り様』が先ず、必要です。
これらが感じられる日本人デザイナーたちを捜して、辻説法してゆく事、
これが僕が言う『イエローマインド』へ繋がってゆくはずだと言う問題意識を持って。

 コレクションは如何ですか?
僕が読んでいる、『ユニフォーミズム』は来ています。
この新しさは昨日のCdGにも観られました。
2シーズン続きこの発想も今回はソリッドになっています。
アイテムはユニフォームから、
そこへあてがう素材とディテールは女性ものを。
これによって、いわゆる、『女』『男』の世界観
即ち、“femme object"や“homme object"という
モードが持っていた変わらぬ、解り易い20世紀までの
使い古したコンセプトが
これからは”Hummen Object"への流れへ
生まれ変わるでしょう。
男、女だけど、人間としてと言うまでのチャーミングなポジティフな
僕流には“新-当たり前主義”が始るでしょう。
これが”ポスト-ジェンダー以後”の
作り手が無節操に、無教養に、何の謙虚さも無く学びのこゝろを待たない
ただ、解り易い”下心”を持っただけでファッションシーンに関わって来た
若者たちが多くなったこの10年間程を批判する僕の新たな眼差し。

母性的なるフォーカスが必要なので、女性デザイナーの方が巧いでしょう。
”穏やかさ、優しさ、おおらかさ、安心感、コージー感
そして、カッコいいよね!!着てみたいよね”が大切。
もう一つ、このユニフォーミズムは或る意味で時代への逆流化。
元々、例えば、アメリカのカジュアルファッションの育ちのボキャブラリィーは
”ユニフォーム工場”から始ったファッション産業。
ブルックスB.にしてもミリタリーや作業服ユニフォームの工場が母体でスタートしたアパレル化。
ここには、ユニフォームの美しさの一つに『サイズ』だデザインされていること。
サイズが持っている美徳の一つにこの美しさが在るでしょう。
ここにはモデニズムの難しさ,技術の問題もありますね。
ユニフォームの機能美はこのサイズ観から生まれているものの一つ。
これも、昨日のCdGには在りましたね。
スーツ、ジャケット、女性もの的なスプリングコートなどにこの美しさが。
ディテールのこなし方にも最小限の女性らしさを加えていました。
安心さや優しさのアイテムに“パジャマ”が使われていたのも嬉しいまとめ方でした。
と言う事でやはり、僕にはいろいろ勉強になった昨日のCdGのショーでした。
ジュンヤは少し安直でした。
が、彼がきっと、言いたい”手の温もり観”や
“庭仕事が癒しや愉しみを感じさせてくれるね”が感じられる“新-当たり前主義”なコレクション。
きっと、彼のご実家が郡山ですからたいへんだったのでしょう。
コレクションどころではなかった状況が裏に読めました。
R.オーエンのメンズはここ数シーズンとても好きなのです。
時代が読めます。彼の世界観でカッコ良く出しています。
今日のANNと今夜のラフがどのように出るか?
急遽、ロマン君のコレクションがミュグレーのコレクションになってしまった、
ミュグレーコレクション。
ロマン君の時代に振れるあの感性は好きです。
VISVIMの”BORO"に影響をされたコレクションも、
タイミングが良かったのか、時代の読み方が鋭かったのか?
とても穏やかな、変わらぬおおらかさを感じさせるものでした。
幾つかのメゾンで“ハリラン”や”クリストファーネメス”を感じる事が多く在りましたね。

日本人しか出せない『ポスト-原発事故』の新たな「こゝろの在り様」を
どのように例えば、もののデザインへ落とし込めるか、期待している僕です。
僕たち、日本人が持っている性格、起用さ、勤勉さと真面目さとポジティフさ
それに経験と使って来たお金を持って、
今こそ大いにそれらを使って世界へ発信してゆけるいいチャンスが今という時代観です。
これは本当に僕たちがそれぞれの『知ってしまったこと』を持って
白人たち,”シロの世界”へプレゼンテーション出来る
僕たちだけの素晴らしいチャンスと可能性があるはずなのです。
文責/平川武治:6月25日朝、ST.-CLOUDにて。

投稿者 : editor | 2011年06月25日 17:54 | comment and transrate this entry (0)

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