2023年3月23日
僕の、今シーズン最初で最後の東京コレクション記−2。/"コロナ禍"後の時代の現代において、何をデザインすればいいのか?
僕の、今シーズン最初で最後の東京コレクション記−2。
「"コロナ禍"後の時代の現代において、何をデザインすればいいのか?」
今の時代性をどのように自分の大事な服の上に表現するか?
これが自分のコレクションを作るための根幹である。
あるいは、現代社会の気分または、雰囲気をどのように
自分の世界観に表現させるか?
これが、クリエーションであり、デザインと呼ばれる世界であり、
これは創造の世界においては普遍な持たなければならない眼差しである。
この差し出されたコレクションのそれぞれに"作り手"の世界から、
どのような「感情、美意識、精神の自由さとこゝろの想い」を感じ取れるか。
これが僕の40年ほどのモードとの関係性と経験から得られた、"SUPER COOL !"
「すばらしいコレクション!」あるいは、「印象に深く残るコレクション!!」の
絶対的なアイデンティティである。
では、最近の"パンデミック"以降あるいは、"3.11"以降もっと遡れば、
"リーマン"以降から変革し始めたそして、現代では「ウクライナ紛争」によって、
変革してしまった「ポスト近代社会」の"パラダイム"の根幹とは、
人間が、人間であるために持たなければならない「倫理観」です。
この「倫理観」の根幹は、
「他者のために他者を想いあうこゝろ」でなのです。
「バリア フリー」「ジェンダーフリー」に端を発し、「SDGs」であり、
「人新世」という新たな地球構造とその環境を考慮、再思考するまでに及ぶ
新たなパラダイムとは、至って、単純です。
「他者のために他者を想いあうこゝろ」からしか発しられない
それぞれの"こゝろの有り様"が根幹なのです。
ここでは、「新・自由主義者」という無知と過ちから
自らが目覚めなければならない世界が時代性です。
そのための「愛と自由と勇気」の使いようが
次世代の"新しさ"という「機能」でしょう。
従って、今の僕が感じる、"SUPER COOL! COLLECTION !!"は、
ただ、「特異性や特殊性、自己満足や自己確認」を表層化しただけの世界観では
全くもって、不満足であり、いや、不愉快であり、
ただ、作り手の"ノイズ"しか感じられないのです。
文責/平川武治。
初稿/2023年03月21日。
「soloist/miyashita/」僕の、今シーズン最初で最後の東京コレクション記−1。
僕の、今シーズン最初で最後の東京コレクション記−1。
soloist/miyashita/
「"産みの苦しみ"を愉しむまでの自由さに委ねられた
静けさ心地よい緊張が溢れ始めるまでの世界。」
プロローグ/
上野まで出かけるには、雨を心配しながらどうしようと躊躇し、
結局は、宮下くんの"クリエーション シャワー"を思い切り浴びたく
もう、薄暗くなった上野の森へ向かった。
森の途中の暗闇で出逢った男性に声を掛けて戴き、会場へ辿り着く。
この彼との出会いも、
不可思議な時間の流れに委ねた心地よさは
コレクションの興奮とともに上野駅まで送ってくださった後に
ジワーと、ほど酔うカクテルのように染み込みはじめた。
たくさん、いろいろいただいたコレクションに感謝。/
「白い傷口から爛れでる
黒という幻想。
幼い日々、
幻に彷徨った
煌めく愛と夢という記憶たち。
少年だった頃の記憶を辿ろう。
優しさというあぶなさ。
緩やかという速度。
エモーショナルという張り詰めた潔さ。
そして、緊張というノイズ。
悪戯という愛。
現実と追憶。
捻れる時間と自分。
服を見せながら
着る人間に繊細という迷路を与え、
世間を語って、社会を語らず。
"産みの苦しみ"を
愉しむまでの自由さに委ねられた
静けさが溢れ始めるまでのコレクション。
これらの"産みの苦しみ"に快感を感じる創造者という当事者。
B.ファルコンあるいは、"ブリキの太鼓"に引っ張られてしまった僕。
こんな素晴らしいコレクションが東京で見せていただける事にも感激。
「ありがとう、宮下くん。」
選ばれた素材。
仕立て上げられたシルエット。
吟味されたバランス。
全てがジグソーパズルの一片、
なくてはならないピースたち。
産み出された赤子のような新たなアイテム、
ハーフショルダーのユニセックスなトップス。
自分の"好み"を持っている創造者しか生み出せない世界。
着たくなる、纏いたくなる煌めく世界。
こんな美意識溢れる美しいコレクションは、
今では巴里のデザイナーたちも産み出さない世界観。
彼らたちの大半はブランドというノイズコレクション、
あるいは、なりすましというの世界観のみ。
堂々と、繊細に、静けさとともに王道を歩み続けてください。
また、パリへ出かけて、白人たちを唸らせてください、宮下くん。
きっと、ラフくんが一番ジェラシーに魘されているだろう。
ありがとう、宮下くん。
ありがとう。
もう一つの側面、
いつもの、いつもの
長〜い、長いランウエイ
使い込まれたフットライト器具。
見事なキャスティング。
これら、ステージ環境を見渡すも
もう美意識高き職人仕事という世界。
ここまでの素晴らしさは
良き仲間たちと楽しむ「産みの苦しみ」という自由の共有。
ありがとう、皆様。」
文責/平川武治。
初稿/2023年03月21日。