« 2023年6月20日/『3年半ぶりの僕のパリ。』 その五-エピローグ "墓参"のこと。 | メイン | 2/『このような時代において、 "デザインすることとは?"を考えよう。その弍:』 »

『このような時代においての、"デザインすることとは?"を考えよう。』そのー壱。

0)はじめに、/
 今、パリでは"ファッションウイーク"のシーズンが佳境。
時がくれば変わらず、コレクションを続ける。
やる側はただ、"ビジネス継続"のため。
見る側も、訪れて与えられた席で"ただ見て、撮る"だけ。
彼らたちはコレクションについての「予習」などはしない。
"ファッションウイーク"をレポートするのが、
仕事だというレベルのジャーナリストたち。
"SNS"を含めてまるで、"ファッション芸能メディア"のレベルの質と内容に
そのほとんどが成り下がってしまった現実。

 このような時代においての、"新しいファッションデザイン"とは
実際、意義も含めてあるのだろうか?
もしくは、デザインすることを生業としている人たちは
「何のためにデザインしているのか?」
あるいは、「何をデザインするべきか?」を
どのような人間としての責任感で考えるべきなのだろうか?
今回は、この問題定義に"二つの視点"で考えてみよう。 

1)まず、「このような時代とは?」/
・「近代」と言う時代の"諸パラダイム"が機能不全になり始める。
・その影響によって、"地球とその自然環境と気象現象"が日々、
 過大なるダメージを受け続けている。
・世界諸国の社会構造が、"二極化構造"がより、現実に拡大している。
・中国の政治・経済の不確実性の高まりとアメリカ合衆国の弱体化。
・ウクライナの"EC化"による、東ヨオロッパの地政学が変革した。
・地球上の人口減少化と、"白人対非白人"の人口比率が変化し始めている。
・モードの世界にも影響を与え始める"イミグレーター"と言う新世代人たち。
・彼らたち"カラード"たちを"次期顧客"と目標にしたビジネス戦略の
 世界のラグジュアリーメゾン群。
・独自の戦略で来年の巴里オリンピックの「プレミアム・パートナー」に協賛の"LVMHグループ"。
・世界のスーパーリッチたちが目論む「N .W .O.」がチラつき始める「監視資本主義」。
 

 参考/
 「アメリカは出生率1.7だが低下しており、しかも出生率が高いのは
白人以外の移民で、白人だけに限ると日本人より低い可能性がある。
この結果新生児の数で非白人が多数になり、アメリカでは白人対非白人の
権力闘争が発生している。」
https://www.thutmosev.com/archives/85436915.html

2)このような時代においてのデザインは「何のためなのか?」−1/
 "what's do the design?" とは?を考える必要がありますね。
その一つは、"遅れてきた、「新・自由主義進化系」たちのための、
"コスチューム"&"ユニフォーム"という世界があります。

 もう一つは、この「近代の終焉」に早熟に、気がつき始めた、
新世代人たちのための、彼らの地球のための、
「倫理観」をデザインするという
全く、新しいカテゴリーのデザインの世界がありますね。

 今回は、「巴里オリンピックが新たなターゲット」という眼差しで、
「LVMH企業グループ」の昨今の動向も見ながら読み込もう。

 19世紀終わり、「白人至上主義者」たちが「近代」と言う新しい豊かさの時代のために
構築してきた一つである彼らたちのための"モードの世界"が"近代のパラダイム"の一つでした。
一世紀以上を超えて、コロナ禍以後「近代の終焉」にも拍車がかかって、
この「近代」という時代の"パラダイム"そのものが
確実に変革しなくてはならない状況と現実が始まって来ました。
しかし、未だこのパラダイムにしがみついて、現在の「監視資本主義」のも元で
"利権"ビジネスに邁進しているカテゴリーのファッションデザインビジネスの世界が
まだ、君臨しています。
 この世界は、地球上の20数カ所の都市で行われている"FASHON WEEK"システムと、
その"利権"下で行われているファッションビジネスの独占的な世界です。
例えば、それまでのパリでは、"fashion calendar"と呼ばれ親しんできたコレクションが、
いつの間にか確か、2015年以降この"FASHON WEEK"という公称へ変化したのです。
が、改名の理由の根幹を考え、捉えているジャーナリストがどれだけいるだろうか?
 僕のように、36年間以上もこのパリで行われて来たコレクションに接してきた者にとっては、
これは「ある日突然の、"青天の霹靂"」でした。そして、僕なりの解釈は
2016年のコレクション以後、"FASHON WEEK"と改名された理由には、
『"グローバリズム"+"ファストファッションの台頭+"トレンドの弱体化"+"IT"の登場』
によってであると認識している。
 そして、現在では、この"FASHON WEEK"システムによって、前述のように、すでに世界で
20数カ所の都市で"マニュアル システム"によって、それぞれの"FASHON WEEK"が、それなりに
行われているファッションメディを軸にした"利権"ビジネスがこの現実です。

 特に、昨今の「LVMHグループ」企業が
その「企業力と資金力とブランド力とそして、政治力」を駆使してこのファッションの世界で、
「ヴァニティなファッシズム」を構造化し始めているのが、現在の「モードのキャピタル、パリ」の
最新の現実でしょう。

 この彼らたちが変わらず構築している「モードとヴァニティ」な世界、
あの映画、"OZの魔法使い"宜しく、金鍍金な「エメラルドの塔」は
未だに、若いそれなりの人種には魅力ある"まやかしのバニティな世界"。
夜毎繰り広げられる"ボールルーム"でのシャンパンと共の饗宴が"モードの世界"であると煽られ、
短絡視しているエトランジェニックな人種たち。
 そんな彼らの役割は、"SNS"で自己確認とそのバニティさを拡散すのみ。
これら"まやかしなイメージング"をファッションDJによって、彼らたちのリアルターゲットである
"The Yellows" & "イミグレーター"たちをビジネスへ煽る"ヌーボーラグジュアリー"という
ハイ・ブランドメゾン群。

3)さあ、来年のオリンピックが大変だ!ファッションメディアがスポーツ メディアになる!
 来年の「パリオリンピック」はファッションメディアをも賑わす史上初めてのオリンピック。
この企画と眼差しは、"スポーツの世界"と"ファッションの世界"のコラボレーション。
この根幹は、白人至上主義者たちによって築かれてきた近代資本主義における、
"商業的狂宴と意義"でしかなく、分かり易い"カラードたち新・中産階級"へのビジネス戦略。
 そのためのファッションビジネスの"新たなパラダイム"としての"オリンピックファッション-
イベント"になろう。
「真の権力者はLVMHの最高経営責任者であるベルナール・アルノーとキリアン・ムバッペだと
言った。」/N.Y.Timesより。

 この来年には現実に行われる「パリオリンピック」後、実質、ビジネスを拡大拡張させるのは、
結局は、"スポーティーファッションブランド"と"スポーティハイブランド"と"ユニフォーム"と、
"シューズブランド"である、これらワールドワイドなユダヤ民族たちの世界の諸企業群が歓喜!!
そして、「素材メーカーや工場」などは所詮変わらぬ、"グローヴァルサウス"という隔離世界。

4))ここで、歯に衣着せぬ、"N.Y.Times"のVanessa Friedmanの原稿記事を
紹介しよう。/
 
 彼女はすでに、今年の7月の終わりに、この来年の"ファッションビジネス ビッグバン"を
書き下ろした、"N.Y.Times"の原稿の一部を紹介しよう。
 『スポーツとファッションのニュースレター、パート2へようこそ。
先週、私は女子ワールドカップについて、そしてデザイナーたちが
いかにその可能性に目覚めているかについて書いた。
 ディオール、フェンディ、ヴィトン、セリーヌ、ティファニーなどを
所有する世界最大のラグジュアリーグループLVMHが、
2024年パリ・オリンピックの「プレミアム・パートナー」になると
発表したのだ。
 ラグジュアリーグループがオリンピックのメインスポンサーとして
契約するのは初めてのことだ。
(例えば、2028年のロサンゼルス大会では、コムキャスト、デルタ航空、
セールスフォースが同じ枠に名を連ねている。)
 オメガやラルフローレンなどのブランドは、オリンピックの長年の
パートナーである。
しかし、通常モンテーニュ通りに並ぶような名前が、
大会全体と結びついているのを見た記憶がない。
 史上最高のオリンピックになるだろう!とは、
ちょっと皮肉っぽく書いてみた。
ショーメ(LVMHの高級宝飾品ブランド)がメダルをデザインし、
モエ・ヘネシー(LVMHの飲料グループ)がシャンパン、ワイン、
スピリッツをホスピタリティ・スイートで提供し、
セフォラが聖火リレーに参加する。
 想像してみてください。
Hollywood celebritiesまた、フランス選手団がルコックスポルティフを
着用する開会式での
衣装や、アスリートたちとの関係性についても言及することはない。
世界的な影響力という点では、彼らはハリウッドのセレブリティと
同じ空間に急速に忍び込んでいる。
むしろ、ハリウッドセレブを凌駕しているかもしれない。
 スポーツの祭典のためにパリを魅惑の絶頂地として売り込むという
アイデアは、なかなかうまい計画だと言わざるを得ない(失礼)。
オリンピックもLVMHも、達成のロマンスを売りにしている。
なんとも魅惑的な結婚である。
非常に長期的な関係になるであろう、
もうひとつのステップだと考えてほしい。
 今月、クチュールの会場で、あるブランド幹部と政治の話をしたとき、
彼は、フランスに関して言えば、
"真の権力者はLVMHの最高経営責任者であるベルナール・アルノーと
キリアン・ムバッペだ"と言った。これがすべてを物語っていると思う。』

 見事なビジネス戦略である。
ムッシュー アルノーはこの"オリンピック大会"を利用して、見事に21世紀版、
"OZの魔法使い"の"エメラルドの館"を自分たちのグループ企業ビジネスしかできない、
彼らたちのために自作自演をディレクションするCEOであり、この企業グループは策士集団であろう。
 多分、彼は"The Fashion is always fake !"
最も身近に熟知している実業家なのだろう。

5)来年の"パリオリンピック"にイマジネーションし、愉しんでみよう。/
 その入場式はオリンピック大会史上、初めての趣向として、"セーヌ川"がメイン舞台として
使われる。
 "セーヌ川"そのものが、観光都市巴里の売り物のトップであり、他の名所エッフェルタワーや
グランパレやルーブル宮を繋ぎ、"左岸"と"右岸"をそして、"愛"を繋ぐ"セーヌ川"が主役となる。
 と言うことは、"橋"とその両サイドの"プラージェ"を
どのように自分たちの"広告テリトリー"とするか?あるいは、"ブランドテリトリー"とするか?
これが来年の"巴里オリンピック"の面白さと愉しさと攻めどころであろう。

 ここで今年4月のソウルのショーと、先シーズンのパリ、ポンヌフでのどちらも、
"L.V.オム"のコレクションを思い出そう。ここで彼らたちは既に、"橋"と"プラージェ"を
どのように使えばより、効果的か?の"シュミレーション"していたのであろうか?
そしてここには、"新たな視線"としての"俯瞰視"がファッションの世界にも登場するだろう。
 この"セーヌ川"をオリンピック開催式と閉会式に使うことそのものが"歴史的イヴェント"であり、
これをどのように自分たちの世界観でイニティアティブを奪て、"LVMH的ショーイヴェント"を
行うことで、世界発信してくれるメディアとともに、来年のパリオリンピックは大会史上の
歴史的イヴェントとして、後々までも、「巴里の文化」に足跡を残すことになることも読み込まれた
この企業の目論みとビジネス戦略であろう。
 まさに「文化は武器」と心得た、「上手なお金の使い方」である。
"橋"と"プラージェ"と、会場を行き来するための"水上バス"には"LVMH企業グループ"の
広告がやたらと目につくだけであろう。
 ここで、前述の、N.Y.Timesのヴァネッサの原稿の一文の、
"真の権力者はLVMHの最高経営責任者であるベルナール・アルノーとキリアン・ムバッペだ!!"が、
実態として納得がゆく。
 「企業力+ブランド力+資金力+政治力+メディア力」=「ヴァニティなファッシズム」
或いは、「柔らかなファッシズム」。

 さて、ここで、もう一つの"パリラグジュアリー"の女神、"シャネル"や"エルメス"
そして、"ケリンググループ"などの対応は? 
これも楽しみな見ものであろう。

 "1900年のパリ万博"で"アールヌーボー"が誕生し、
"1925年のパリ万博"では、"アールデコ"が誕生したことと重ね合わせて、
 100年後の"2024年のパリオリンピック大会は、何が誕生するのだろうか?妄想してみよう。
『"ファッション+スポーツ+アート"="ヌーボー・ヴァニティ・ラグジュアリー"』の誕生か?

文責/平川武治:
初稿/2023年09月18日:

投稿者 : editor | 2023年10月 1日 22:00 | comment and transrate this entry (0)

コメントしてください




保存しますか?