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2/『このような時代において、 "デザインすることとは?"を考えよう。その弍:』

1)はじめに、/
 前回は、『「近代の終焉」に気が付きながら、変わらず「白人至上主義」たちの、
"利権"ビジネスをモードの世界で遅れてきた、「新・自由主義進化系」たちのために、
選ばれた、"ファッションDJ"たちが、'95年来の"ラフ"や"ウラ原系"アーカイブスから
変わらぬ"コスチューム"&"ユニフォーム"という世界でビジネスを軸にDJ展開している
現実を、「LVMHグループ」の来年の"巴里オリンピック"を舞台に計画している
強かな"ビジネス戦略"を根幹に提言しました。』

2)今回は、もう一つの"眼差し"として、
"戦後"、都合よく忘れてきたもの或いは、欠如したものが何かを、改めて考えてみる
必要がありますね。/

 結論的に言って仕舞えば、これからの時代における"デザインすることとは?"
『「倫理観/エシカル」をどのようにデザインするか?』です。
 この「近代の諸矛盾」に早熟に、気がつき始めた、新世代人たちのための、
これからの彼ら世代が"地球自然環境"を意識した「倫理観/エシカル」を
デザインするという全く、新しいカテゴリーのデザインの世界がありますね。
 この「倫理観/エシカル」をデザインするカテゴリーに、
当然ですが、昨今のファッションのみならず、"全産業のトレンド"になってしまっている
"SDGs"や"サスティナビリティ"も含まれます。
 また、従来からの"ユニバーサルデザイン"や最近、新しいカテゴリーになり始めた
"ノンビナリー デザイン"、そして当然、「人新世」までもが考えられ、含まれる世界です。

 この「倫理観」とは、難しくも無く、堅苦しいことではありません。
誰でもがこゝろし得る、「他者を思い合うこゝろ」或いは、「他人のために思い合えるこゝろ」
どのように持ちデザイン行為するかが根幹です。
 それに「近代の諸矛盾」の如実な現実に対しての、"地球、自然、環境"を思い合う良心的なる
世代発想が加わったものが、彼らたちの「倫理観」でしょう。
 もう一つの根幹は、近代における"デザイン"が、"コミュニケーション"の一つの世界で
あったならば、今後の新たな世界観における、"コミュニケーション"そのものが今後の
"デザインのあらたな世界"であるという王道な根幹と思想です。

 しかし、「新しい世界」を創造するための"新しいパラダイム"には、
それなりの資金が必要な時代です。
 グローバリズムに登場しサーフした、「SPA型」ファッションビジネス。
すなわち、"ファストファッション"系の企業人たちが、
本心、この「倫理観をデザインする」と言う世界を認識し、
「どれだけ投資する意思と、意欲と思想があるか?」が、次なる「次世代型SPA」系の求めるべき、
パラダイムであり、世界でもあるでしょう。

 このあたらしいファッションの世界は、「サスティナブル」を"差異"にするには、
"インデペンデント・デザイナーブランド"の個人レベルが手掛けるには至難の世界です。
なぜならば、それなりの投資資金が必要だからです。 
 彼らの規模で考えられる手法の一つは、
行政がどれだけ彼らたちの新しい"サステイナブル支援"をするか?
あるいは、それぞれ個人が感じ意識する「他者を思い合うこゝろ」
を基本とした「共有感覚」と「共有言語」を持ち寄った共通の「倫理観」による
「コーポレーション方式」も考えられるでしょうね。
自分たちが「儲ける事」だけを考えた"コラボ"こそ、「倫理観」欠如の証でしょう。

 しかし、もう一つ問題があります。
いつの時代もの現実ですが、"ファッションメディア"の「倫理観ある」編集と
バックアップでしょう。
 全てが、「広告ありき」のこのメディア産業の限界。「純広告」と「タイアップ広告」の
契約具合でそれなりのブランドを持ち上げる編集根幹が変わらない限り、
この世界もメディそのものが、「倫理観」をどのように
新たな編集軸として持ち得てゆく時代性に意識し、
熟知しなければいけないでしょう。

 変わらず、広告スポンサー企業の"太鼓持ち"が
"メディアビジネス"という認識、
簡単で、カッコつけられる仕事だと大いなる勘違いしているレベル、
コレクション会場でフアストローに座れることを自己満足している
変わらぬ、ファッションメディア人たちとその現実にも、
新たな時代の、「倫理観」の元、
「新たな"ファッションメディア パラダイム"」が必然でしょう。

3)一つの大きな事実、昨今の「古着ブーム」からの新たな眼差しである。/
 日本の古着マーケットも戦後の"大衆消費社会構造"によって生み出され、
世界でも特化した"モノあまりマーケット"へ進化した
これも"20年周期"のファッション・ルーティーンの一つであろう。
 そして、このブームにも"二つの潮流"が生まれている。
この状況は、"表のコレクションファッション"とシンクロした「ハレとケ」現象である。

 その一つは前述もした、世界のラグジュアリィーやハイブランドの客寄せパンダとして
招聘された"ファッション DJ"たちが、"中古レコード"を探す同じ感覚なのだろうか?
コレクション前には東京を訪ね、お友達を訪ねまわり、"ネタ"を探す。
ウラ原デザイナーやブローカーそして、古着屋を巡り回るクルージング。
この彼らたちのクルージングは彼らたち特有の"ザッピング手法"或いは、
コレクションディレクターとしての"創造のためのネタ探し"とのパラダイムである。
 この現象はストリートファッションを軸にした世界では
もう世界的に認知されたパラダイムである。
 ここで暗躍しているのが、知らぬ間に自分たちが仕入れた古着をネタにコピーものを
"オリジナルコラボ"と称してカネ儲けに走る古着屋輩である。
よく売れるのが、"M.M.M."であり、90年代の半ばごろからの"ラフ"や"アントワープもの"
それに、"U.C."など、これらに並ぶ"ウラ原もの"などなど。最近では、"H.ラング"も動き始める。
 この現実の裏側には、'90年代に入ってからの自己主張が強い形骸的な
コレクションデザイナーブランドの"癖の強さ"を白人たちよりも、世界で一番買っていたのが
日本人バイヤーであり、いい顧客だったという証拠と現実である。
 例えば、"M.M.M."ブランドも立ち上がって3シーズン目からは日本人バイヤーたちと
その顧客たちが世界で一番多く買っていた。従って、このブランドの"直営店"が
白人世界に先駆けて、東京店が第1号店として初めて立ち上がったことを考えれば理解できる。
 この"20年周期"のファッション・ルーティーンの一つである、"古着屋ブーム"が
"個人〜古着屋"そして、"個人〜ネット/ヤフオク〜古着屋"というこの世界でも、
PCが加わったことでの世界規模としての新たな古着の"拡散と再販とコピーもの"が進化し、
このような現実を生み出し、新たなビジネスになっての現在である。

 そして、もう一つの"古着屋"ブームは、
グローヴァリズム以降に誕生した世代たちがリアルに意識し始めた新たな眼差しである。
 90年代以降のバブリーな"大衆消費社会構造"によって生み出さた"モノあまり"と
その過酷なまでの"生産背景や労働条件"など、世界レベルの「近代の諸矛盾」がひき起こしている
「負の如実な現実」や「不都合な事実」に対して、
彼らたち世代が感じ意識し始めた、"地球、自然、環境"をどのように大切に考え、思い合う
良心的なる世代発想としての"SDGs意識"も加わった上での
「倫理観/エシカル」が投げかけ、働き出した現実としての"古着ブーム"であろう。
 そこで、今回のテーマ、『このような時代において、"デザインすることとは?"を考えよう。』
もう一つの視点がこの「Z世代+古着ブーム」=「倫理観」を意識する眼差しです。
新たな世代が「新しいパラダイム」として彼らたちの"目線"と"身体性"と"日常性"によって、
「なぜ古着にこだわるか?」を
これからのデザイン作業に関わる人たちが"問題意識"として持たなければならない
"こゝろの有り様"であり、そこに、それぞれが持ち得た"美意識"をどのように表現するかでしょう。
 「不都合な事実」や「まやかしのイメージング」で生み出された"新しいモノ"よりも、
"気に入った古着"そして、それらを使ってのリメイク、リペアー、リプロ、リユースなど
可能なる"優しさ"が施されているものへの"安心と感動"というリアリティ。
 この根幹は、「倫理観」を意識し始めて誕生した"古着ブーム"であり、
Z世代がこのブームを牽引し始めているのです。

 ここに参考として、
"sdgs. yahoo.co.jp"の2021.06.18付けの記事を紹介したい。
 ぜひ、オリジナルを読んでみてください。
タイトルは、『古着ブームの裏側に高まる若者の環境意識?
「優しい目線」の買い物が欲しい未来を引き寄せる』である。

 『映画"トゥルーコスト"を見たり、グレタ(トゥーンベリ)さんが
スピーチしているのを聞いたりして「不都合な真実」をいろいろと
知ってしまった結果、何を買っていいかわからなくなってしまったと。
知った上でそのまま消費していると、自分も非倫理的な振る舞いに
加担しているように感じてしまうみたいで。』

 この冒頭の一文は僕が提案している、
『これからの時代における"デザインすることとは?"「倫理観」をどのようにデザインするか?』の一端を
端的、彼らたちの"リアリティ"で言い表されていますね。
 ぜひ、ご一読を!

 参考/
sdgs. yahoo.co.jp/
『古着ブームの裏側に高まる若者の環境意識?「優しい目線」の買い物が欲しい未来を引き寄せる』
https://sdgs.yahoo.co.jp/originals/87.html?cpt_n=mailmaga&cpt_m=em&cpt_s=109&cpt_c=&cpt_k=ang_442201_208654098_20230922

4)おわりに、/
 これからファッションに限らず、"デザイン"に関わる人たちは、
自分たちも使い手でもあるという人間的な価値観のもとに、
新たな服のデザインにおいても、
古着を利用した服にも
「他人のために思い合えるこゝろ」という「倫理観」を
根幹とした価値観を持って、「右手に問題意識、左手に美意識変わらず!!」
 このような時代において、 "デザインすることとは?"を考えてください。
"In these times, "What does it mean to design?" Consider the following."
お願いします。
 
文責/平川武治。
初稿/2023年09月21日。

 参考-1/non binary :
 伝統的な用語で定義されていない性別または性的アイデンティティを
示す、またはそれに関連する男性と女性、または同性愛者と異性愛者などの
二項対立。非バイナリーの人々はメディアで大幅に過小評価されています。
 参考-2/ノンバイナリージェンダー(nonbinary gender)
https://ideasforgood.jp/glossary/non-binary/https://eleminist.com/article/550

 ノンビナリー デザイン/
https://ideasforgood.jp/glossary/non-binary/

投稿者 : editor | 2023年10月 2日 17:00 | comment and transrate this entry (0)

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