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「オーセンティックを知らない世代たちのために。 -"Authentic"を考える。』

 1)はじめに;
 この原稿はちょうど、1年前に書いたものです。
時代の雰囲気が"Authentic"を醸し出し始めたと感じたからです。
 しかし、若者たちは、「"Authentic"を知っているのか?ファッションの世界では、どう感じているのだろうか?」
という"オールド・スクール"が感じる疑問から書き始めた原稿です。

文責/ 平川武治:
初稿/ 2023年12月22日:

 2)ファッションビジネスをセンスよく、カッコよく継続してゆく為に、
 欠かせない、「時代の読み方」或いは、「時代の感じ方」とはを"来春"をターゲットに考えてみたい。
今、僕が感じている、「時代の雰囲気」を言い当てる言葉が「オーセンティック」です。     
なので、この「オーセンティック」をテーマとして、来年のファッションがどの様になるかを妄想し、考えてみましょう。

 3)まず、「オーセンティック/Authentic」とは?です。
 辞書によると、オーセンティック(authentic)とは、/
①本物の、正真正銘の、真正の、真の、れっきとした~
何かが偽物や複製されたものでないことを意味する。
つまり、それまで誰も考え付かなかったようなものがoriginalで、
その後似たような製品が競って作られる中で、本物の製品として君臨しているものを"authentic"で表現する。
②〔資料・報告書などが〕信頼できる[の置ける]、頼りになる、信ずべき、信ぴょう性のある
③〔証拠などが〕確かな、確実な
④〔書類の内容の真実性が〕認証済みの、

 4)そして、"ファッションの世界"では、/  
 オーセンティックとは、英語の「authentic」で「本物の」「正真正銘の」「信頼できる」の意味から
ファッションでは正統派なアイテムの組み合わせ、トラディショナルな着こなし方が示されます。
 では、どのようなファッションを「オーセンティック」とするのか、
明確な定義はないのですが、古くからは、スーツやドレスなどの"正装"を指すことが多いです。
スーツにおいては、ジャケットとパンツ、ベストがセットになった「スリーピース」がオーセンティックとされ、
また、流行に左右されない王道の着こなし方として、「アメリカン・カジュアル」スタイルが挙げられる場合もある。
 多分、ファッションにおける「オーセンティック」は"T.P.0."というルールから生まれたアメリカが発祥でしょう。
そして、今や「punk」にも"オーセンティック"はありますね。
時代を経て、"豊な生活"から"尖ったものが、丸くなる。"と、このこなし方が定形化されるのだろう。

 5)現代社会において、「保守社会」からより、安全性を求めることが、
 当たり前の現在では、当然、国家は「監視社会構造」を携帯やGPS機能を使い、AIも引き込んで
より、進化させて全国民衆を安心・安全へ"囲い込む"、「監視社会構造」
すなわち、「柔らかいファっシズム」を隠れた根幹とした「後期資本主義/ポスト・デモクラシー」時代へ入り、
"二極化社会"が構築されてゆくでしょう。
 この様な社会構造が現実化してくると、それぞれの「立ち居場所」或いは、「現場」または「根拠」を
より、明確にしなければならない時代になるでしょう。
 例えば、「ヒッピーでなくヤッピー、再び!」と言う社会性と"囲われた自由"が問われ重視されることでしょう。
 
 6)この様な社会の時代性になってくると、
 ファッションはより、もう一つの根幹である、「ユニフォーム化」へと進化しますね。  
本来、ファッションが持っていた役割としての「社会との関わり」のための"機能"としての「制服」化でしょう。   
 どんな仕事をしているか、どんな会社に働いているか、のための身分や立場をより、明らかに明快にするための
「ファッションと装い」という保守性のもとでのファッションである。
 従って、「ヒッピーでなくヤッピー、再び!」の時代であり、或いは、「生まれや育ち」をファッションで
"なりすまそう"と言うところでの「オーセティック」がウリになる時代性でもあるでしょう。
 そして、この「オーセンティックの世界」では新たな主役として、「過去」或いは、「アーカイブ」が
より、価値を持つ時代性にもなります。

 7)今の時代と今後の時代感を考えると、
 僕達を待っている社会は、 「ますます、保守の進展!」でしかありません。
そこでの、新しさや優れものまたは、モノの存在価値を考えると、この「オーセンティック」と言う言葉が思い出されます。
 「氏、育ち」が明確なものそして、当然、その育ちに見合った品質と品格が求められ、
それは素材と縫製は勿論、健全な価値と発想と技術に育まれて生み出されるファッションアイテムなのです。                           
 本来の「ラグジュアリー・ブランド」と呼ばれるものにはこれらが揃っていたはずなのです。
 しかし、LVMH社とその一端である、ブランド"L.V.の登場とそのビジネス手法の煽りを食らって、
世界のこれらのブランドメゾンも見事に多くが「バニティー」なブランドになってしまいましたね。
 この現象の反動が、じわじわと今後のファッションの世界に浸食し始めるのが今後の、「時代性」となるのでしょう。
 この事実の一つとして、メディアが言い出している「クワイエット・ラグジュアリー」もこの現象の一つでしょう。

 8)そこで、僕のもう一つのファッションキーワードは、
 その象徴的なのが「紺・ブレ」であり、次にやはり、"紺、ベージュ、グレー"のオーセンティック・トレンドカラーであり、
"白と黒と赤"というベーシック・カラーがモードの"古き、新しさ"を演出するという時代感になるでしょう。
 そして、来年は「パリ オリンピック」が大きな"ファッションイベント"と盛り上がる年であり、
「近代」では初めての、"スポーツの祭典"が"モードの祭典"に重なる時代であり、
ここで登場するのが、"ユニフォーム"。そして、「オーセンティックなアイテム」としての「紺・ブレ」が重なるでしょう。 

 9)"ファスト・ファッション"と言う名の、「ファッション・クローン」全盛、
 現在のファッションビジネスの多くはグローバリズムによってより可能になった「SPA」カテゴリーの世界です。
このカテゴリーは言い換えれば、グローヴァリズム以降に可能になった、「ファッションのクローン」のビジネス化ですね。
人間味を感じさせない均一的トレンドとほとんど無表情な質感とバランス感。
 「一番安上がりで、一番柔軟なビジネスで、一番容易な素材を利用して、大量に早く売り切ってしまう。」
ファッションビジネスのパラダイムは依然、変わらぬ古い手法ですね。
 この世界はこの20年間で生産構造と規模は一応、基準化しそれなりにクオリティも良くなってきた
"OEM/生産構造"と言うインフラによって、「グローバル・サウス」で生み出される「ファッション・クローン」の世界です。
この「ファッション・クローン」の世界は当然、「オーセンティック」とは対峙する対極の世界です。
 そして、"ラグジュアリー・ブランド"にもこの「ファッション・クローン」は既に、侵食し始めていますね。
これをブランド力と金メッキで"なりすまし"ているのが「ハイ・ブランドビジネス」もそのほとんどが然り、
"グローヴァル・サウス"における工業生産品ですね。
 故に、それぞれのブランドにおける「自分たちにとってのオーセンティックとは?」をそろそろ認識する時代性と、
そのためのチャンスと捉える「眼差し」が次なる時代性と提言します。
 
 10)まず、コレクションを構築するときに、
 「自分たちのブランドにおけるオーセンティックとは?そのアイテムは?」から考え、始めることが
それぞれのコレクションを構築するすべての根幹になるでしょう。
 ここで、それぞれのブランドにおける、「オーセンティック+α」と言う公式を考えて下さい。
「オーセンティック+スポーツ」或いは、「オーセンティック+シック」そして、「オーセンティック+ストリート」などの、
"発想と視点"ですね。
 余談になりますが、今、メンズファッションにおいての僕が時代の雰囲気を感じさせる、
"綺麗、カッコいい、上品そして、優しさ或いは、ナイーヴ"を感じさせる即ち、「オーセンティック・エレガントブランド」は、
"ゼニアやロエベとエルメス"ですね。
 これらのブランドは"素材感とボリューム感とオーセンティック"なアイテムの構成、
それに"時代の気分"としての色とプリントによってそれぞれの世界観ががデザインされているからです。
 この流れを感じ取って、プラダのラフ君はまた薮睨み的視点で、彼独特の"距離感"を保ち、
元来のオーセンティックブランドの今後を、自分たちの立ち居場所を俯瞰視し、死守していますね。
 
 11)やはり時代は、「オーセンティック+α」と言う流れが主流へ、
 当然ですが、それぞれのブランドの世界観にどれだけの自分たち流の「オーセンティックな世界観があるか?」
と言う視点が重要なブランド・アイデンティティになってゆくでしょう。
 そこで、「オーセンティックを知らない世代たちのために。」と言うタイトルで
来年は、新たなシーンが始まる年なのだろうと妄想しています。
 彼ら達、若い世代は"身長と体格が良くなり、顔が小さくそして、首が長く、手足も長くなった!"と言う彼らたち世代の
新しさを十分に知り、分かった上での着こなしとして、「オーバーサイズ気味、さり気なくコーディ。」が
彼ら達の一番の、さりげないカッコよさであり、"洒落っ気!!"なのでしょう。
                              
 12)そして、更なる"妄想"の2025年は、
 「ファッション・クローン」としての「オーセンティック」が誕生する世界が、"近未来"でしょう。
 日常化してしまった"ファスト・ファッション"である「ファッション・クローン」が次なるメタモルフォーゼを行う。
それが、「オーセンティック」と言う、「ファッション・クローン」の誕生というパラドックス。
或いは、「次世代型SPA」の誕生?なのかもしれません。

文責/平川武治。
初稿 /2023年12月22日。

投稿者 : editor | 2024年12月29日 21:30 | comment and transrate this entry (0)

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