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巴里、ブティック LECOLETTE ブックレットのための原稿。
For Le colette;
「都市は人間の意志の現実ではあるが、------- Paris Homme. A/W '04 ‘05」
take. Hirakawa;
ホテル イストリアからはさほど遠くないカフェ・クーポールではその日の朝と夕方
に行われたジュンヤとコムのメンズコレクションのためにクーポール(丸天井)はマン・レイやキキとシュルレアリストたちこそ登場しなかったが‘27年の開店以来の騒ぎになったことは確かであろう。(それに、その日の朝はH.ニュートンの自動車事故という悲しいニュースも加わってしまった。)日本人デザイナーたちがわざわざ、なぜここを借り切ってまでコレクションをしたのかという問いは今シーズンのオムコレクションも後半になって理解できるようになった。このクーポールにはその当時の新しさとしてアメリカンバーが設けられた。シガーをふかしたアメリカンツーリストたちとジャズミュージシャンたち。オーソドックスでありながらこだわりのディテールに凝った彼ら達とジャズミュージシャンたちのダブルブレストのスーツやフォーマルなジャケット、サスペンダーにカマ―ベルトそして、コンビネーションシューズ。時代はモダニズムが始まったころのミュージシャンたち、男たちの洒落たいでたちが70年ほどの位相をさほど感じ指さず、また帰ってきた。ここに集まってきた当時の芸術家や音楽家それにエトランジェたちの自由でありながらクラッシックな正統なかっこよさを楽しんだ男たちは今シーズンのメンズコレクションの主流となったからだ。
1)
可所分所得が比較的多い彼らゲイ達がこのマーケットから心移りし始めてもうかれこれ1,2年が過ぎようとしている。ここ10年以上ほどはオムコレクションの重要な顧客だった彼ら達もやはり健康志向の時代の波には逆らう根拠もなくすんなりと健康志向型ライフスタイルへと。しかし、このまちのデザイナーたちはしたたかである。そんな彼らたちへこれ見よがしに「女物」をより、直接的に使い始めるという手段に出た。きわめて短いそしてスリムなレディス仕立てのジャケットにユニセックスとでも呼べそうなスリムショートパンツとの組み合わせ。コレを「クロス・ストリートジェンダー」とでも呼ぶのだろうか、「スリム&ショート」なシルエット、そのマインド&テイストは「ロッカー、サイコビリーそれにパンカーにモッズ君」そして、イメージングは[THE ROCK’N ROLL CIRCUS]’69LONDON。 そのこなし方は「cross over the category」。ピンクフロイドの「マネー」がなぜか、強く、耳に残った。
エディのコレクションはいつも[アンファン・テリブル]。アンバランスなバランスが彼の美意識。 そして、J/Wには’67年の、僕たちがまだリセ時代だった頃の[ピーコック革命]と呼ばれた、自由を謳歌したファッションレボリューションを髣髴させた。かつて、自らのすばらしいコレクションのアーカイヴの一つとなったスーパー・スリムラインのパンツスーツをはじめ、多くのレディース・スタイルをシャッフルさせ、彼の的確に作動する風向計によって今シーズンはストリートを再び闊歩する育ちの良い青年たちへ新しいチャーミングさを投げかけた。
//D.Homme, J.W,etc,,,
2)
新しさを望むなら「’90年代はじめ」。現在のように「ただ、新しいことは古いことで、古いことが新しく感じる」時代性から予測すれば、「`92~3年」がSO FRESH!! 多分ここに来て、’90年代に流行ったストリート・カルチャーを今もう一度それら、彼らたちのユースカルチャーを選りすぐり選び、その成果を21世紀に認めだす方向へと時代は動き始めたようだ。’92,3年に何が流行ったかをもう一度、思い浮かべてみなくてはいけないのがこのシーズン。確か、ミリタリーが湾岸戦争の影響から多くモードに登場し、「ニュースがモード」化し始めた時代。縮絨を掛けたボロ・ルックが、アウトステッチのアンフィニッシュなジャケットなどが「グランジ・ルック」と呼ばれたのもこの時代。パンキッシュなテイストも含めて、今シーズンのオムではこれらの「ストリート・カルチャー」またはユース・カルチャーが趣旨選択され、ソフィスティケーティドされる。「黒」という色が主役に躍り出たのもこの時代。そして、これらが「ロマンティック」「クラッシック」に味付けられる。それに「ユニフォーム」というカテゴリーも今ではスポーツあり、ミリタリーありそして、ワークスありの「ミュージュック・ユニフォーム」とでも呼びたくなるスタイル・ミックスな現れ方が今。このトレンドのコンセプトは当然ながら新しい主流の「protect & protection」。そこで多くみられる「CAMO.」プリント。 自然との関係だけではなく都市で生活している男たちのためのカモフラージュ・プリントはあるものは輝きを、あるものはアニメが、それらにフォトプリントも加わった「CA MO.」のバリエーション群。//B.W, R.S, CdG,etc,,,
3)
初コレクションのJ/Gは’80年代なかばのJ.P.G.を髣髴。スポーツ&下着と思いついたあらゆるユニフォームのスタイル・ミックス。特出すべきは、「バイオレンス」このモードにも「バイオレンス」がイメージとして、リアリティよりも美しく登場。 // J.G, G.Y, etc,,,
4)
あるデビューコレクションの場合。
もっと、堂々としたショーを見たかった。いじけている分だけ自信がないのだろう。ラフがちらつく。バルベス、メトロ#2、ジェットコースター、スタイルブックなコーディネート。日本からの若者がせっかく高い金を使ってこの街に来ても元気ない、自信なさげなショーはもう、ぼくたちは数年前に経験しているはずだ。知的興奮もなくただ感傷的にアッピールし、スタイリストのスタイリングでは足をひっぱている。それは自分の貧者ジュで無理な「育ち」を見せるだけである。少し、脳みそが固まりすぎているのではないか、「スタイリッシュ・丘サーファー」。所詮、時代に乗っかるだけで決して、時代を創造できる才能は残念ながらない。// N.9,
投稿者 : take.Hirakawa | 2004年06月06日 07:30