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PARIS HOMME COLLECTION S/S '12−3/湯水の如く日本マネーを使ってやりたい事放題をこの巴里でやっているという事だけのTHOM BROWNEなのだろうか?
THOM BROWNE ;日本企業の金で此のデザイナーはこのブランドをどうしたいのだろうか?
本当はパリコレ最終日だったので素晴らしい事を書きたかったのですが、
余りにも悔しいこゝろの様を感じてしまったので書きます。
新人デザイナーは3シーズン見ればそのデザイナーのそれなりの才能とその背後の構造と育ちが解ります。
此のトム君も巴里では今シーズンが3シーズン目です。
そこで僕なりの此のデザイナーへの結論を書きます。
*
先ず、イントロダクションにかわって、先シーズンの僕のコメントから。
【面白かったのが、巴里のファッション雀たちからアメリカのかなり特異な
田舎者的なカテゴリーの存在になってしまったTHOM B.君。
今シーズンも、変わらず、日本マネーでド派手な事をやってくれました。
昨年此の国の料理の世界が新たにあのユニセフに依って
「フランス人の美食」が人類の無形文化遺産リストに記載された。
このニュースからインスパイアーしたコレクションなのだろうか?と思ったコレクション。
それが、見ると、“不思議な國のアリス/ハリウッド版”。
由諸在る18世紀の室内バランスと装飾を残したホテルWESTING"の主賓サロンが舞台。
J.デップばりのモデルの男のたちのロングテーブル。
残念乍ら彼らたちが着ていた服がどのような服だったのか、憶えていない。
舞台衣裳的にしか見えなかったのと空恐ろしい演出が総てがより、コミックに見えてしまった。
これでは、フランス人たちからすれば、今回の受賞「フランス人の美食」がパロディられて居るだけ。
無論、日本人ジャーナリストたちはこのようなユネスコ制定は全く知らない。
ただその凄さで騒ぎ立て,デジカメのシャッターを押すだけ。
そして、日本メディアは又、諸手を上げてのペイジ献上。
彼は服のサイズがお洒落を演出する事が大事である事を熟知している、アメリカン既製服出身者である。
元々、アメリカの既製服はこのサイズ展開が既に軍服や作業服で出来上がった生産背景の上に
構築された世界から発展して来たもの。
従って、この育ちを巧く手玉に取ったのが彼の下心ある頭のいいところ。
同じファッション-ディレクターであれば、R.シモンズの方が遥かにこゝろ豊かな
アルテが匂う才能在るヨオロッパ的なファッションディレクターだろう。
先シーズンのパリコレ-デビューコレクションでは、
’70年代N.Y.在住の日本人カメラマン“HIRO"の彼が撮った有名な写真(70年作)から
インスパイアーしてのショーはそれなりのインパクトが在った。
が、トム君の育ちが育ちであるからどう見ても、”ザ-ハリウッドショー”。
日本企業が買い上げてしまった,(クロスカンパニィー/所在地;岡山)
このブランドを彼はどうしたいのだろうか?当然儲けたいのであろう。
ただ僕は、湯水の如く日本マネーを使ってやりたい事放題を
この巴里でやっているという事だけに危惧する。
この現実は彼の精神性か或いは、企みの一つか?
それが、”ポチ”の國では受けると思っての戦略なのだろうか?
それで売り上げが採れるという安直な手段なのだろうか?
もしくは自己満足,自己顕示欲の塊からの発想なのか?
今回のショーをみる限りではこう感じてしまった。
所謂、市場は未だ、アメリカと日本が中心であろう。
”IVYルック”の洗礼を受けてしまったアメリカ大好き者たち、
アメリカの”ポチ”になってしまった団塊の世代のヤッピィー連中と、
アメリカでは、いわゆる業界人的な人種や“NEO-CON"連中にしか受けないこのデザイナーの仕事を
日本メディアは変わらず、諸手を上げて尻尾を振りまくって喜んでいる。
代理店と幾社かの出版社とは広告によって、結構大きな取引をしているから仕方ないであろう。
彼の仕事は今様な”ユニフォーム-メーカー”のカテゴリーレベル。
これがこのような“NEO-CON"時代へマッチングしただけ、もしくはこのような時代性の読みが巧かった
いわゆる“BON GOUT"を知らないアメリカンファッションユニフォームディレクター。】/平成23年2月記:
**
では、今シーズンのコレクションで考えた事、学んだ事。
さて3シーズン目の今回もトム君は、またもや、やってくれました。
凄かったです、僕にとっては吉本的爆笑もの、美しさ在るバランスのものが
皆無,服そのものは過剰装飾なバランスのモノが大半。
バランス観が巧いはずのデザイナーにしてはのショーと言うのも凄いこと!!
正直言って、今シーズンも此の手か?というシロ-モノ。偉いですね、これをやってしまうと言う事は!!
一方で、僕は穿った気持ちになってしまった。
現実を考えると、これがあの3.11以降の日本人が持っているブランドのショーなのか?
親会社であるクロスカンパニィーの社員たちの姿を見ると”ユニフォーム”は恐い!と言も思う。
中身のコレクションは変わらぬ”ザ-ハリウッドコスチューム”。
何がテーマだったか読みたくもない。
“NO TASTE & NO QUALITY,ONLY .
IT'S JUST SPEND A LOT OF JAPANESE MONEY,THAT'S ALL."
ALSO, ”WHEN THIS HAPPENS, WE DO NOW?"
巴里のサンディカの連中も何も言わないで苦笑するだけ。
そして、此のショーが日本マネーでオーガナイズされている事を知ると
驚き、あっけに囚われるのみ。殆どの巴里の業界人たちには知らされていない事実。
今回のショーで学んだ事,調べた事で幾つかの新しい疑問が湧いて来ました。
トム君はちゃんとファッションをそれなりの学校で学んだ経験が在るのだろうか? “否”。
寧ろ、最近は多くなって来た、“才気あふれる商売と見栄と地位”を欲しがるタイプで
クレバーなビジネスシーンが読めるファッションディレクターである。
残念乍ら、それ以上のものを彼の3回のコレクションからは感じられないし見えない。
”ハリウッド”—“アルマーニで販売”—”ラルフーローレンでアシスタント”—
”ネオ-コンサバティブ/新-保守主義”—そして、”雄弁さと度胸でメディア攻略”、、、、、
なかなか、頭のいいシナリオによるファッション界への登場である。
トム君はそれなりの美学を学んで来たのだろうか? “否”。
美学より、数字が好き色が好きなカッコ付けたい、変わらず此のファッション界によくいるタイプ。
ただ、こだわりが強い、そのこだわりも育ちに由来した数字へのこだわり。
最初のパリコレの会場が20世紀のモダニズムを代表するニーマイヤーの建築で有名なホール。
次が、巴里の18世紀の貴族の栄華を残すホテルの素晴らしいサロン。
そして、今回が19世紀末、ベルエッポックの香りと雰囲気が名残っているレストランマキシム。
これらのこれ見よがしの会場を僕流に行ってしまえば、
”巴里の文化”を今回も僕たちの日本マネーを使って舞台に。
”トリコロール”を自分たちの各ブランドの色としてリボンまで造る。
結局、今回もこのような美意識の上でのスタイリングショーしか見せてくれなかったトム君。
彼にとっての美意識とは?挑発する事でしかない?広告プロパガンダそのもの。
作品群の出来映えは解り易いトレンドを入れ込んでの、
世間を知らないファッション学生上がりのアシスタントレベルの作品群。
この様なショー会場での日本人関係者たちには含羞のこゝろ持たずだったのだろうか?
これが、『原発の今後』を危惧しなければならない日本人が?と思い込んでしまった。
ここには『裸の王様』と群衆的なる構図も読めてしまう。
日本人ファッション関係者の惨めさ?または、厚化粧顔?
まるで30年程の時間差が感じられない世界。
そこでもう少し、彼の小賢しさを深読みすると、
此のトム君は結局は馬鹿でもなく狂人でもなくまた、ドラッグ中毒患者でも無い、
ただの小賢しい金、色、名誉を望む極ありふれた古い
何処にでもいるいわゆる、”やり手タイプ”のビジネスマンでしかない。
即ち、解り易い、セールスマン上がりのアメリカンサクセスビジネスマンである。
しかし、やっと見つけた一つの金の卵をうまく育て、儲けられるところに売り込みまくる事に
精を出している事には違いない熱心なセールスマン。
その証拠に、巴里のデビューコレクションは真面目に彼の最大の見せ場として使った。
自分たちのたった一タイプのメインの売り物、”新型ユニフォーム”をこれが僕たちの世界ですよと
しっかりとハリウッド=アメリカと言う図式であのニーマイヤーのモダニズムの中で見せ,
集まったジャーナリストたちへ講義をした。
以後の2回と3回目の今回のショーでは自分のブランドの立ち位置を決めるための行為のみ。
自分の持っているモノが小さい、短い,狭い事を知っての戦略に切り替えた。
ここでも、当然であるが、これが契約の一条項になっているから、
日本マネーを湯水のように再び使って自分のこの街での”立ち居場所”を見つけ出す事と
そして、堅持し死守し,継続可能のための処方として
“対極法”または、”二項対位法”と言う解り易い手法をとった。
その目的は金儲けを目論んでいるだけ。
そのためには出来るだけ長く自分たちのウリである”新型ユニフォーム”で儲けられるか?
錆びないうちにどれだけその周辺に垣根を構築しておくか?
その垣根も“ハリウッド式”の張りボテセット=イメージングでいい。
トム君の実態は僕が観た3回のショーではこれだけ。
セールスマン上がりのアメリカンファッションデザイナーと呼ぶ由縁である。
総ては、あのサイズをデザインしたスーツがただ一つの耀くタマでしかない事を
熟知した上での行為であり、ここが彼のディレクションのクレバーのところである。
一つ、それなりのものを作れば後はそのバリエーションを展開し、他人の持っているモノを利用し、
そこにどのようなイメージやエピソードを足し算さしてゆくか、
此の古い手法を此の時代に堂々とやっているだけ。
あの様な美意識も無いこれ見よがしの”ハリウッドコスチューム”
即ち、”はりぼて”をやれば、やる程、
彼のただ一つの金の卵の“NEO-CON.UNIFORM"が煌めくと言う”二項対位法”の手法。
全く持って、彼は“ハリウッド出身”を自信もって振りかざしている解り易いアメリカンな美意識者。
そして既に、巧く構築出来てしまっている”裸の王様”構造。
ここにも、“The Fashion is always in fake"が見事に具現化されている。
さて、結論を言いたい。
僕はこのようなデザイナーは別にどうでも良い。いずれ又、出てくるレベルである。
このブランドの日本人関係者たちへ伺ってみたい、
『出来ませんか?もっと、上手な、有意義なお金の使い方が?』
何か、日本人として、オーナーとして、平等な立ち居場所で彼に提言が出来ないのか?
即ち、”裸の王様”のあの少年に成れないのか?
僕たち日本人が今、意識しなければ成らない,考えなければならない事とは?
当然であるが、未だ、トム君の方が1枚も2枚も上手であり、強かで傲慢である。
資金を出している以上、気骨あるこゝろの在り様と気概を持って、彼の上を行くべきである。
それが見えなかった。残念であった。
ここにも、彼らたちからは戦後日本人の”アメリカンコンプレックス”を育ちとした
”シングルスタンダード”しか見えない。
ただ、自分たちが思っていたカッコ良さへ資金を使って体現し
なおかつ金儲けが出来ればこれがベストと言うレベルなのでしょう。
余分な考え方かも知れないが、これだけの使える金があれば、
日本の若いデザイナーたちや素材産地へまたは、
今後の『イエローカルチャー』を育成するためのファッションファンデーションを設立するとか、
何かもっと違った方法で具体的に賛与出来る事があるのではないか?
また、今回の様な3.11以降であればどのように
”知って、観てしまった事に対して”何が出来るか?と言う
僕たちしか出来ない眼差しさえも当然、見えないとても悔しい、残念なショーでした。
未だ、このような時代なのか?と、今は既に”21世紀”。
どうしてもあの津波大震災の災害地の風景と人々のこゝろを重ねて見てしまった僕。
実際のビジネスはどうなのだろうか?
伊勢丹では既に、売り上げが少し落ち始め75%程にダウン。
それに、このレベルのブランドの多くが起こし易い”納期遅れ”が始り出したという。
当初は”高過ぎたプライス”、これも此の世界では“イメージング”の一つの手法。
それが安くなって、売れたという。
言い換えれば、”イメージダウンさせても売りたい。”という本音。
それが、日本で伸び悩む分だけ世界戦略でリカバーすると言う方法論を
此のブランドもとるのであろうか?そのために必ず蒙る”納期遅れ”。
これを解消するために今度は“品質”が悪くなる可能性も危惧する。
いろいろと悪い夢と現実を見、憤ったり、学ぶ事があって大変面白いキッチュショーでした。
でも、トム君、モードの学校を出ていなくとも巴里でやるのなら
『エスプリ』とは何かを学んで欲しいネ。
”巴里の文化”を金で買ってばかりしないで!!
そうか?ユニフォームのデザインには“エスプリ”は要らないのだ!!
"THE FASHION IS ALWAYS IN FAKE." お見事でした!
***
最後の最後に、
彼ぐらいの度胸と才気とコンプレックスを持った”大型新人”が
日本の若者から出て来ても良さそうなのに。
外国で学んだと言って自慰行為をしているだけの頭の鈍い若者たちよ、
”モノ”をパクるだけではなく、学べる事は何でも学んで欲しい。
そこに自心によるこゝろの在り様を据えてそして、“ダブル-スタンダード”を!!!
「イエローカルチュアー」には可能性がいっぱいあるのです。
彼のところには何人の日本人が働いてると言うのですか?
僕は今シーズンもいっぱい学ばせて頂いたパリコレクションでした。
ありがとう、いつも素晴らしい好奇心をくれる巴里。
文責/平川武治:28th.Jun.at St.-Cloud:
投稿者 : editor | 2011年06月28日 21:40 | comment and transrate this entry (0)