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若き二人の発言者、蘆田裕史と工藤雅人のレベルとは、/昨年末のANRAELAGEの会で。

 “モードにおける新しさは進化している。−1” 
昨年の12月の話、
ANREALAGEの出版と展覧会記念で渋谷PARCOで行われたトークの会での
僕の発言が時代を予告した結果となった。
が、その前に、言っておきたい若き発言者の二人へ気になった事を発言する。

 *
 森永邦彦 と参加者のたち若き評論家と称する人たちと共に僕も交え語る会。
参加発言者へのテーマは“今それぞれが思う新しさとは?”であった。
 一人は京都服飾財団の団員であり造形関係の学校の先生をしている蘆田裕史 。
残念ながら彼のモードへの眼差しは書面教科書程度。
モードのリアリティを知らない日本的ファッション文化人を装うお利口さんレベル。
彼の発言は“M.WORTH/Charles Frederick Worth"のクチュールの時代が
現代の時代性に類似しているというもの。
1911年に彼がロンドンから巴里へ進出し、自分のオーダーメイドシステム
今で言うところのクチュールハウスを開きそれ以後、
巴里でのオートクチュールビジネスの時代が始まった。
 この様な時代性が現代に類似しているとうい単純な表層からの一般的な知識の
見せびらかしを行った。しかし、それを視点にするなら彼、M.WORTHの
当時の時代性と社会性からその時代の新しさを先ず説明すべきであった。
M.WORTHが何のよりどころも無くロンドンから巴里へ来てクチュールハウスを
開店したのではない。彼なりの”時代の読み”が根拠としてあったからであり、
これを先ずは説明した上でこの若き評論家は学んだ事と経験とによる視点で分析し、
比較した上での論点でなければ無ければその論説は主張出来ない。
難しいカッコ付けの言葉の空売りがモード評論では無い、
モードとはその時代の社会性と時代性に乗っかって展開して来たものである。
思ったとうりの、所詮、『論語読みの論語知らず』。

 身じかな人間に入れ知恵されてのお仕事だったのだろうか?
彼の穿いていた下モノはM.ブランドの200%エゴに挑戦しているデザイナーからの
貰った物を身に付けての登場も含めて、森永君をナメての登場か?
或いは、このレベルのカッコ付けの”安請け合い”お仕事だったのか?
彼の”表層的なる短絡”的視点は惨めでカッコ悪い限りである。
彼をそれなりのファッションを語る側の人間として持ち上げられ、
その立ち居場所だけを利用した銘柄に弱い“下こゝろ”に溢れた輩たちに、
僕流に言えば、”むやみにデザイナーぶる”若しくは、”ファッション長屋の世話焼き
おばさん”たちに利用されているに過ぎないレベルと実感した。
もっと、リアリティを見詰め、既に、折角の立ち居場所を持っているのだから
学び、大いに豊かな世界にして欲しい。

 もう一人の若き発言者、工藤雅人は正論を、技術の新しさを発言した。
が、その根拠にはどの様な新たらしさが新しいのかの探究心ある分析は
感じられないものだった。彼には時間が足らなかったのだろうか?
 序でであるが、彼が着ていたシャツはデザイナーから貰ったもの。
未だ、ある種の彼らしい無邪気さ(?)とGOOD WILLを感じるがやはり、
この二人の若き発言者は、このレベルと世代ではしてはいけない事である。

 慣れは恐ろしい、“飼い慣らされてしまってはお終いである。”
“発言者”であろうとするならば、”こゝろと美意識は贅沢さ”を持たなければならない。
この世代もファッションへ発言するならば、ジャーナリストと称されるならば
その立ち居場所で持つべきプライドというか、含羞も必要である。
ここにも、ある種の”原子力ムラ”と類似する構造が見て取れる。
惨めであり、危険である。
 
 ファッションを論じるとは、単純にいってしまえば、
自心のセンスと知性で覚悟を持って、”時代と寝る”事で論じられる世界である。

 **
 この会が終わって頂いたある人からのメールを紹介しておこう。

『——―二人の発言者が血迷うが如く選択肢が無いと言った時には
自由が故の不自由、
枯渇が産む貪欲の欠如、
探究心って言葉を知らない世代
正直バッカじゃねーのって言いたくなり、
知りもしないのに(中略)同じ土俵に上がったつもりで、
アンリアレイジに新しさは無いとか言い腐る様には
背景の想像力の欠如モノを作った事のない表層の上っ面だけ舐めて
分かった気になってるだけの論者に次世代の感覚を肌で感じました。
ちょっと怖かったです。』
第1部終わり。
文責/平川武治:

投稿者 : editor | 2013年2月13日 16:39 | comment and transrate this entry (0)

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