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モードから読む”裏と表”−1

 今年になって素早く動き始めた新たな『光と影』。
『世界は騙される事を欲する!』Sebastian Brant/15世紀ドイツ文学者「阿呆船」
 
 物事には全て『表と裏』が有ります。
 例えば、今、巴里で行われている今シーズンのコレクションのトレンドの一つにも
この『表と裏』が先シーズンからの継続トレンドとして有ります。表向きの表情と、後ろ姿の
表情の相違を着る女性の身体に世界観としてデザインする。
過去からこの手法もよく使われてきました。意外性やユーモアという世界観から
特意性に至る迄多くのデザイナーが試みました。
 この“一粒で二度美味しい”論法ではもう一つには“リバーシブル”という手法も有ります。
ここ数シーズン見え隠れしながら大きなファッション潮流にはならなかった。
却って、この手法は’60年代のような昔に流行したものでしたが、現在の様にモノの豊かさが
日常的になっている時代性では然程、大きな潮流にはなり得ず、造る側の”お遊び”程度になって
しまっているのでしょう。ただ、時代の経済環境や社会性によってもう以前の”機能性”や
”経済性”に委ねたイメージングからの”二面性”というコンテキストではなく、時代の表層と
深層構造が日常的に二面性の世界である事、その虚偽性、虚構性に気が付き始めた
リアリティーにたいしての所謂、”時代性”というコンテキストによってファッションの世界でも
デザインが為されている。
 ここでは僕が発言して来た、『もう時代はイメージからリアリティが生まれるのではなく、
リアリティからイメージが生まれる。』の現実が読める。
 ”二面性”というコンテキストの根幹は、“一粒で二度美味しい”でしかない。
ここに“愉しみ”が存在しているから魅力となり創造性が膨らむのでファッションの潮流に度々
現れてくる。しかし、過去をみても此のコンセプトが出る時代性とは決していい時代ではなく
不況時や不確実性が広がる時代に多く出たもので、現代ではそれに不平等性が加わった
時代性と読める結果であろう。
 なので、この“二面性”も最近では素材が持つ”表と裏”の“リヴァーシブル”ではなく
構造が違う“表と後ろ”の二面性である。即ち、着る事によって”表の見え方と後ろ姿の見え方”が
違うと言う”表層に於ける二面性”であり、ここには大きな相違が有る。
それは、隠された”二面性”ではなく見える”二面性”であり一種のフェイクを愉しむという
コンテキストが読める。僕が発言しているファッションとはの根幹である
”The fashionis always in fake.”がここにも理解されるであろう。
 現実世界においては、これを熟知し、巧く使い分けられる民族がこの世界で富と権力の
イニシアティブを執っています。何故ならば、物事の”根幹”/”二面性”を理解させられている
からです。ですから、彼らたちが先端を担い、富を築きその格差は年々増すばかりです。
“世界は一つではなく、その一つのモノには表と裏が在る。”
これを愉しむとは?どこに立つかの、富と権力の為の立ち居場所確保に尽きる。
 こんな時代性とは、ここでこのパリコレのトレンドを交えて、日本の新たなる『表と裏』
が表層化し始めた、今後”見えて来る二面性”を妄想して見よう。
文責;平川武治:巴里市にて;

投稿者 : editor | 2014年3月10日 01:46 | comment and transrate this entry (0)

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