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桑沢合同ゼミ-19MAY’15で話したこと−3、

3)改めて、ファッションにおける”新しさ、アヴァンギャルド”とは、”創造”とは?;
  ファッションとは、何時の時代もその時代を生き生きと生きる先端の女たちを
”ミューズ”とし、彼女たちの生き方とリンクしてその時代時代の女性たちへ”アヴァンギャルド”というイメージングによって、ファッションの創造が展開されていた。

 20世紀のモードとは、産業革命以降の機械工業化社会=量産化の始まりによって、”新興中産階級”が登場しその新たな階級の新たな女性たちの自由な愛の生き方をアイコン化することから
始まり、2つの大戦を経て戦後は’60年後半からの新しさとして、教養ある女性たちの生き方と社会化=知性とともに強さと自由さを”象徴”化するためのイメージイング作業とその社会化が
高級既制服という”プレタポルテ”の世界を生み、この世界は時代の先端を生きる女性たちへ
”ミューズ性”を与え、讃えることによって、それぞれの時代における 新しさ=アヴァンギャルドを生み出してきた。そして、時代の進化という、20世紀の”豊かさ”(=消費社会化=物質的なる)の急激な進展とメディアの社会化により「あり得るべきイメージ」から「あり得るべきリアリテ」のための消費社会構造が誕生すると、その社会性のための”フアストファッション”が誕生
する。21世紀に入って時代がもたらした新しさとは、情報という”バーチャルリアリテ”による
ライフスタイリングのサンプリング化すなわち、”リアリテ”のバリエーション化でありこれはIT
モバイル社会による情報量の普遍化の象徴である。
 これらによって、実生活におけるイメージとリアリテが”逆転”し、新たにバーチャルリアリテが加わった世界、例えば、最近のディズニー映画の世界は”あり得るべきすべてのヴィジュアリィティ”が、[リアリテ+ヴァーチャル+3D+アニメーション]というミックスメディアであり、現代の新しさでもあり、醍醐味でもある。そして、「あり得るべきリアリテ」としてのイメージング即ち、望むべき手本であるQoLのライフスタイリングが新たな目標になる。そして、ファッションは物量と情報量によって、その実マーケティングの”速度”を減速しつつ、イメージング作業の一つとして時代のキーワードである「安心、安全そして、快適」のための”ユニフォームのアヴァンギャルド”化が始まる。
 その手法はファッションサイクルの中で”模倣=バーチャル”という手法を使って”時代の習慣”
=リアリテを生み出すことであり、ここ数シーズンでは、かつてのアヴァンギャルドを、例えばPUNKをコード化し始める。という事は、新たな新しさではなく、かつて在ったものからの選択と編集作業がクリエーションになる「Variation of the Archives」という世界の登場である。
 従って、情報も創造のための情報から”選択と編集という”ブリコラージュ”のための情報量に
変質した。

4)では、ファッションの最前線とは、;
  今、モードの新しさとは?について、はっきり言えることは、「モード産業は広告産業である。」(広告を産業化する時代のヴァリエーションの一つ。このカテゴリィーには
産業スポーツも入る。)
 時代性はより、『家で、みんなで安心、安全そして、快適に!』なる時代。
従って、モードの世界もこの現代という時代性の王道を行く、”工業製品のプライド”の復権の
時代でしかない。
 クチュール/手工芸の世界と、ラグジュアリィーファッションをトップとした”既製服”の世界
そして、ファストファッションの棲み分けが、あるいは、”ミュージアムショップ”と”スーベニールショップ”というクオリティの差異化がこの21世紀前半の”スタンダード”であろう。
(ノームファッションの登場もこの世界のヴァリエーションでしかない。)
 そして、モード産業とは、クチュール+ラグジュアリィ+プレタポルテ+アパレル
+ファーストファッションから、新たな産業化として、”スローファッション”のカテゴリィーが
生まれ、ヴィンテージの世界とリ-プロ/リ-メイク/リ-サイクルという手工芸化が加わる。
そして、ラグジュアリィレベルでは、個人デザイナーからアトリエチーム主体型へ、そして、
彼らたちをディレクションできる”ファッション-アースティックディレクター”志向へ時代は流れ始めた。
 一方、従来型のアパレルやファーストファッションにおけるビジネスでは、”生産企画&管理”
職が重要な構造になり、ファッションの世界も”リアリティ+ヴァーチュアルリアリティ
+イメージング”の三位一体化構造へ進化した。

 もう一つ、ファッションのクリアティビティとしての『新しさ』の規範が変化した。  
JUST NEWからSOMETHING NEW + OLD NEWへ、そして、”FRESH NEW”へ、あるいは、
今シーズンのコレクションに多く現れた”EPISODE NEW ”へ。
 従って、基本的なクリアティビティの根幹は、”VARIATIONS OF THE ARCHIVES”であり、
過去の集積から今の時代の空気感を感覚でセレクトし、そこへ新しさとしての”素材+色
+プリント”それに、”一味/ひとあじ”を加える、ニュアンスのデザインが重要な仕事となる。
ビジネスを考えると、大事な作業としてはプルミエールヴィジョン(1年先の素材を売り込む
ための素材見本市)が発信する”トレンド情報”のフレームからセレクトし、当て嵌め込んで行く
作業であり従って、”デザイナー”よりも、”ファッション-アーステイックディレクター”が重要な時代性であり、DIORのRAFやS.L.のHEDIEなどがその代表選手となった。(例えば、日本では”instagram”からパクってカッコつけているデザイナーブランドもある。)
 基本的な、”技術開発”が無ければこのファッションの世界のクリアティヴィティは
”モノのヴァリエーションの時代”が蔓延るだけである。
そのモノのヴァリエーションの世界に意味性と嗜好性と時代性を味付けするには
”エモーション”や”ノスタルジィ”と”妄想力”がキーワードとなる。
 もう一つの確実な新しさは、”スローファッション”の進展であろう。
このコンテキストは「使える物はみんなでより、使う」であり、時代の感覚と技によって、
全くの違った世界を、妄想力とともにリアリティへ落とし込む世界はM.Mのジョンの登場と
共に、これからの若い人たちへのより、現実の新たな可能性である。

*そして、今の時代におけるデザインすることとは;
 ファッションの世界で普遍的になった機能性を含む諸コードをレイアウトすることである。
そして、”時代の空気感”をデザインし、ライフスタイリングの”ニュアンス”をデザインする。
それらをデザインするための時代の感覚的新しさとは、”リアリテをイメージング”することであり、”イメージのリアリティ”化ではない。
 従って、時代の感覚的新しさとしては”素材+色+プリント=質感=3D感”が
形骸的なエゴ-デザイン性よりも、プライオリティを持つ。そして、ビジネスを考える場合は
”トレンド”を自分たちのマーク&ブランドの世界観とイメージでデザインすることである。
*ファッションをディレクションすることとは;
 自分たちのマーク&ブランドの世界観でモノとイメージをマーケティングディレクションが
できること。
 そのための”手法”とは、ファッション-アーカイヴからのバリエーションをブリコラージュすること。その根幹は、”時代の空気感”をイメージングし”ニュアンス”をモノと広告の世界で
ディレクションすることである。そして、デザイナーよりも”知性とスキルと創造性と感受性と
美意識と好奇心”の特化が必要とされる。
*ファッション-アーカイヴとは;
 ファッション世界におけるビジネスとクリエーションにおける”基本コード”の集積化である。
イメージングされたそれぞれの時代における女性の生き方の”コード”の堆積化である。
 ファッション-アーカイヴには、”スタイル+パターン+素材+色+ディテールとバランス
そして、イメージと概念の諸コード”があり、それらが堆積されている巨大な世界になっている。即ち、1860年以降、ワースがパリで初めてクチュリエのブティックを創業し,約200年余の
”ファッションリアリテ”の集大成である。
 ここに、それぞれの時代の出来事や生活情景をヒストリカルにラインアップさせ、
”ビッグーデーター”化し、マドリックス化すればあとはこのファッションの世界も
”確率”のでクリエーションがなされる時代が来るだろう。

*これからの時代にデザインするということとは、
  もう一つ、普遍的なることでは、人間が何かを「産み出す」ためには、
他の動物が持っていない、人間しか持ち得られない、違うことを組み合わせて、産み出すため、継続させるためのエネルギィイにすることである。
 ブランドビジネスにもこれは大切なことです。個人が持っている或いは、ブランドが持っている
『知性+感受性+創造性+美意識+好奇心』の五角形のバランスを知ること高めることです。
このためには「学ぶ」という構造とプロセスが必要です。
文責/平川武治:

投稿者 : editor | 2015年6月 4日 16:42 | comment and transrate this entry (0)

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