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巴里土産、”僕的、”巴里の新しい出来事、”平成29年7月記。

 ”僕的、”巴里の新しい出来事、”

 DIOR展で見つけた言葉。
“TRUE LUXURY NEEDS GOOD MATERIALS & GOOD WORKMANSHIP.”
 
 コレットが閉店します。12月20日で終焉。
ここでも、”20年周期”が。
確か、2年ほど前に(?)台湾系企業がオーナーになったはずですね。
彼らたちが、持ちきれないほどのビジネスレベルだったのでしょうか?
まだ、サラたちファミリィーが持っていれば、これにしがみついていたでしょう。
お母ちゃんはサラのために、自分が持っていた”サンチェ系の既製服ブランド”を
7社ぐらい売却してやり始めたのですから。
きっと、自分たちは売却して得たお金と、サラたちの顧問契約で
のらりくらり営業になったのでは?
一度、調べてみたいですね。
http://ja.colette.fr/?___store=ja&___from_store=ja

 時代は作り手の立ち居場所が変わったように、
ディストリビューターのあり方にも変化が必要な時代性。
もう、”DSM”も古くなってしまった商業形態でしかない。
自社ブランドと競合ユダヤ・ブランドとのリトマス試験紙あるいは、”振り屋”構造。
”世界の豊かさ”たちはどこで、どんな買い物をしたいのか?

 「ボンマルシェ」の創始者たちの言葉が思い出されます。
「3つのサーヴィス+もう一つ、」
そして、「新しい酒は、新しい革袋に」が再び、必要な時代性。
これは世界レベルで必需事項なり。

 日本でも、デパート、セレクトそしてAEON,駅ビル系から、
次なる新しいディストリビューターのあり方が必然になってきた時代性ですね。
ここで、どのようなバランスで、e-コマースとの構成比を考えるか?
例えば、”しまむら”も売り上げが落ち始める。
ここはe-コマースの比率が低いから早く落ち始めたのでしょう。
デパートにおんぶに抱っこアパレル・ブランドが消滅化。
セレクトは今では”SPA型”ビジネスで売り上げを取り、
”セレクト”とは名ばかりの落ちぶれ方。
AEONにしがみついているSPA型も今後がない。
e-コマースの比率をどのように堅持し、伸ばせるかが生き残りポイント。
新たの時代の気分を感じさせる「ファッション・ディズニーランド」か、
「ストリート・ラグジュアリィー」という名の「ロコ・ファッション」や
「コス・プレ」の世界。
そして、「ブラック・ラグジュアリィー」のみが
今後のあらたなファッションシーンを生み出せる時代の美意識。

 元マルタンの社長、ジェニィーさんも先日亡くなられましたね。
早すぎました。
南イタリィーのバ-リ、M.M.M.を売却して購入した別荘で。
彼女もファッションが大好きな人でした。
ブリュッセルで営んでいたブティック2件を売却してマーチンと”夢”を共有した彼女。
僕をいい距離から見てくださってた人でした。
「タケは今度生まれてくるときは”デザイナー”だろ!!」と言われた言葉を思い出し、
「いや、デザイナーにはなりません。」と返事した。
 黙祷。

 モード美術館、ガリエラのキューレーターをしていた、オリビエくんが
ここを突然解雇されて、J.W.ウエストンヘ再就職したそうです。
今、ブルーデル美術館でいい「バレンシャガア展」をキューレーションしたというのに、
残念です。
この展覧会は「バレンシャガア・ノアール展」。
知的なコンテンツがこの美術館のブルーデルの彫刻作品と対比されて展示されている
素晴らしい知的展覧会。
もともと、この美術館自体が小さなフレンチガーデンがあり、美しく、
大きな紫陽花が印象的。
このクチュリェの針の動きとブルーデルの人間の肉体の塊、マッスの捉え方との対比が
素晴らしい。
オリビエ自身が会場構成とセノグラフィーを担当したのも良い。
黒に拘った白の使い方、彼の繊細で知的な神経がこの展覧会の全てをまとめ上げている。
クチュールの美しさとは、作品を着た女性の表情と佇まいのバランスであろう。
それらをどのように見て貰いたいか?また、魅せたいかに拘った
彼のバレンシャガアヘのリスペクトと恋こゝろがこの展覧会への想いの全て。
当然ですが、始まったばかりのDIOR展とはその展覧会の趣旨と目的が大いに違うために
この差異は経験できない好奇心を味わせてくれた。
数年前に彼、オリビエがCdGの展覧会を白でまとめて魅せてくれたことを思い出す。
パリのモード・インテリとしては申し分のない人材だったのに、今回の再就職は残念である。
もう少し、これも調べて見たい。
http://www.bourdelle.paris.fr/fr

 DIOR展はすごくお金がかかった展覧会。
“TRUE LUXURY NEEDS GOOD MATERIALS & GOOD WORKMANSHIP."
”DIOR王国”とはこれぞ!!をこれ見よがしにまとめてやり始めた。
この裏には、アルノー氏がやっと、この”クチュールDIOR”メゾンの買収に成功し、
今まではプレタと化粧品だけであったが、この中枢のメゾンを手中にしたことによっての
ある意味、「文化は武器」というコンセプトを開け出した、
自分たちがこの王国を持っているのだぞ!と言わんばかりのプロパガンダ展。
でも、すごい!展示体数だけでもこれだけを展示された展覧会はない。
素人にもわかりやすく、誰もが、ノスタルジアを想い出させる展覧会である。
ディオール本人が一番凄い”クチュールとは!”の世界を作っている。
YSLのセンスがDIORのエレガンスを引き継いだ巧さは認められる。が、堂々さは感じられない。
アブラハムのプリントも彼の味方をした’70年始め。
うまくビジネスも繋げていたM.ボラン、彼が一番長くデザイナーをしていた。
イタリアン・エレガンスとフレンチ・エレガンスの差異が出せず苦労した学者的デザイナーJ.F.
フェレ。
自分の自由さを、自由の謳歌をこのメゾンで行った、唯一のジョンくん。
あの時には、その大胆さと繊細さが狂い始めてきていたのだろう。
ディオールとは違った意味での”魔術師”の才能を見せてくれるジョンくん。
一生懸命、”DIORエレガンス”を勉強して彼なりに頑張った、ストリート・クチュリェ ラフくん。
素材のオプションに面白さを見るが、これはT.TANAKAくんの仕事分野だっただろう。
ネオ・ヴァニティへの挑戦なのだろうか?あるいは、マーケットの入り口をより、広げるための
”FAMME OBJECTS”コレクション。
初めて委ねられた女性クチュリェ、マリア・グラツィア・キウリ。
それぞれの”DIOR”が一同に揃ったとにかく、必見すべき見事なキューレーションの展覧会。
パメラがキューレターで頑張った、展覧会としては素晴らしいものになっています。
ここで、パメラとオリビエに差が出来てしまったようです。
そして、多分、パリの展覧会で会場構成に”プロジェクト・マッピング”を使ったのは
この展覧会が初めてでしょう。
https://www.dior.com/couture/ja_jp/メゾン-dior/展示

 アントワープへ出かける。
あんなに通った街なのだが、その思いが砕かれてしまった鏡のような田舎町。
展覧会を見る。
やはり、パリの展覧会と比べてはいけない。
この街のどこに”エレガンス”があるのだろうか?それが、この展覧会にも見て取れる。
M.M.M.のオリジナル作品と、HERMES-M.M.M.の”SOUCE OF THE CREATIONS”の
面白さに、過去を思い出して微笑む。
嬉しいことにこれらのほとんどを僕は”レア”で見せて頂いてきた者、
M.M.がやって見たくなったという気持ちがわかるまでの”貧しさ”が発想の根幹でしかなかった
彼らたちのオリジナルコレクション。
ヴィンテージという名のオリジナルあるいはリアリティを見事に料理していたコレクション群。
HERMES-M.M.Mが持っているはずの”エレガンス”が展示予算の問題だけであろうか、
会場の雰囲気からは感じられなかった。
当時の状況を知らずに、彼らたちの作品だけをこうして見ると、
やはり、モードを学ぶ学生たちにはそれなりの新しさと、凄さを感じさせるまでの
展覧会である。
作られたものの説明が多く、その背景や時代感を感じさせる対比事項が弱いキューレーション。
https://www.momu.be

 LVMHアワードで特別賞をとった、N.Y.のkozaburoくんに会いました。
セントマから、TOMのところへ、そして独立。
なかなか、しっかりしたものつくりをしている精神性と美意識高い日本人でした。
今、TOMのところにいる福本ゆうくんと友達。なので、ゆうくんとも久しぶりの再会。
デザインをN.Y.で。ものつくりを日本で、ショールームをパリでという考えで
スタートし始めた彼。
今後の進展に興味あり。
ハンドクラフトとサイエンスクラフトのメチサージュ。
ハンドメイドクオリティとインダストリアルクオリティのバランスの良さが品よく仕立てられ
日本人には難しさである”エレガンス”があなたの美意識の高さによって
シンプルな美しさを構築されていました。
パリのモードの世界は”クチュールの世界”が根幹で成り立っています。
ですからこの街でのモードの究極の褒め言葉は”エレガンス”です。
どうしても、現代の日本人の美意識ではこの”エレガンス”が
間違った理解のされ方というよりは、身勝手な理解の上で表現されています。
”シンプルさ”で豪華な優美さをも表現できる世界なのですが、
”シンプルさ=貧弱さ”になってしまう分量のバランスさに問題があるのでしょう。
日本の”手仕事”の世界を生み出した美意識の多重構造”に自信と覚悟を持って
これから、ますます、お励みください。
ある意味で今の時代の”ヌーヴォー・ジャポニズム”です。
https://www.kozaburo.com

 Yプロジェクトがフランスの文化庁主催のAndamアワードを取ったそうですね。
僕はあまり好きではないデザイナー。
創造性において、新しさが感じられない。
所詮、”ブリコラージュ ドゥ アーカイブス”の世界でのお利口さん。
時代の風向きが味方したのでしょう。
http://andam.fr

 YUIMAくんが今季もいいコレクションを行なった。
どの様に良いかといえば、
「わかりやすく、見事に美しい”自分世界”をプレゼンテーションした。」
会場で流されたA.V.も大変親切に製作されていたので、
余計に彼の”SORCE OF THE CREATIONS”が丸わかりこれはこれで成功だろう。
が、僕が毎シーズン彼へ進言している「意匠登録」/COPYLIGHT」の申請が
まだなされていない。
この様な世界は、自分の思想的なこと以外ではやはり、自分の才能は自分で
守らなければならないだろう。
あの一生のプリーツでさえ、意匠登録を獲った為に彼の企業が救われたのであるから。
僕は唯馬くんは見事な「レゴ世代」を代表している、新しいクリエーターであると、
リスペクトして今後の彼の進化に興味を持っている。
彼がやっていることは見事に、世界に先駆けた発想で世界のモードに挑戦している
日本発の若者の一人であるからだ。
同じような海外で勉強してきました集団組とは大いに、一線が引けるまでの
志の高さを持っているから嬉しい。
http://www.yuimanakazato.com

 この街の新しさとしての”AFRICAN INFERENCE”。
じわじわと、過去へ戻ってゆこうとするパリ。
ケ・ブランディ美術館の「ピカソとアフリカンマスク展」
LVMH美術館での「アフリカンアート展」
それにラ・ヴィレットでの「ジャマイカ・レゲエ展」
僕は今シーズンのコレクションに現れてくると予測していた「AFRICAN LUXURY」
この兆しがこのような展覧会となってすでにこの街をあの時代へワープ。
1911年来、アフリカのプリミティフな世界がこのパリへ染み込み始める。
それらの”滲み”を新しさと感じられる世代たちの登場。
街のイミグレーターたちも第3世代へ。
豊かさを感じ始めるまでの、おしゃれとしての「ロコ・ファッション」が増え始めたこのパリ。
我が、CdG H.P.のコレクションが、まさに、”AFRICAN INFERENCE”そのもの。
海外のバイヤー達が言い始めた、
「このイメージングはロンドンチームがまとめたものだよね。」
アフリカの伊達男達、”サプール”と、ロンドンのストリーターズ達のイメージング・コラボ。
こんなクールなイメイジングは、流石!!CdG H.P.
あるいは、’68年に誕生した、R.ハミルトンの作品に現れた”POP”に見られる
アフリカンプリントの使い方。
そう、今シーズンのラギッドなトレンドとはこの”AFRICAN INFERENCE”。
そして、「AFRICAN LUXURY」あるいは、「BLACK LUXURY」が
これからのクールなトレンド。
http://www.quaibranly.fr/fr/
http://www.fondationlouisvuitton.fr/
http://www.citedelamusique.fr/francais/
合掌。
文責/平川武治:

投稿者 : editor | 2017年7月13日 08:25 | comment and transrate this entry (0)

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