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"Act The I"への返事。/「コロナ以後」のファッションはどの方向へ?

 "Act The I"とは、巴里のモード研究所である「I.F.M.」がやっているプロジェクトである。
彼らたちが、この「コロナウイルス以後」のモードの行方をいろいろな人から聴いているのが
今回のテーマ。そして、それに対しての僕の返事が以下である。

 『極論を言うと、「デジタル封建主義」あるいは、「サイバー独裁」と言う時代性が
近づきましたね。
 そうですね、ファッションビジネスの今後もどのようになってゆくのか?
そして、そのビジネスのための創造性とプレゼンテーションの手法も再考が必然でしょう。

 ファッションビジネスもグローバリズムの到来と共に、大きく変化し、生産地が変わり、
クオリティが落ちその分、ヴァニティなイメージングがより、派手になり、それぞれのメゾンの
ショーはより、それぞれのブランドの「包装紙」の役割を担ってしまうまでに派手になり、
若手のインディペンデントなデザイナーたちは肝心のファッションにおける創造性に新しさが
求められなくなり、所詮彼らたちが選択したのは、「アーカイヴコレクションのザッピング
あるいは、リ・メイキング」と言う袋小路へ逃げ込んでしまった為に、このコロナ騒動で余計に
彼らたちはこのモードの二つの袋小路から抜け出せないでしょう。
 創造性に対しては以前よりも抜本的な創造の手法を求めるしかないでしょう。
それは僕が5年ほど前から発言してきた、”The without sewing”と言う発想がありますね。
もう、ミシンと糸とアイロンで仕立て上げる服にはほとんど「創造性」の可能性はありません。
全てが、「ヴァリエーション オブ アーカイヴス」の世界になってしまう時代性だからです。
ですから、「衣装」はより、「衣装」になり、「ユニフォーム」はより、「ユニフォーム」と
なるでしょう。そして、その中間領域だけが今後の大いなる「モードの為のモードな包装紙」。
 ではどの様なユニフォームが?
僕の答えは、「リアリティのユニフォーム」と言うコンセプトを提言しています。
「新しい普通」、その連続性が「新しい日常」を誕生させます。
この「新しい日常」のリアリティのためのユニフォームです。
ー「快適性、着やすさ、着心地の良さ、利便性それにカッコ良さ」と、
自分たちが「繋がっている」世界のユニフォームという考えです。
 たとえば、「Distance」というキーワードをコンセプトに考えられる、「ユニフォーム」も
ありですね。

 キャピタリズムが崩壊し始めると、「大量生産と大量消費」のためのファッションビジネスの
構造は、「トレンド」と「在庫」そして、「納期」をリスクヘッジしたより、効率よく
儲けられるかのビジネス手法が再考されます。見かけは「ファッションアイテム」を製造販売して
いるように広告宣伝とイメージングで見せかけておいて、実は「衣料品」の大量生産と大量販売
で儲けている「UNIQLO 」の様な、「なりすまし商法」が、ハイエンドブランドでもビジネス
中心を考えてより、進化するでしょう。ここでは、”オリジナルブランド”というマーク付の
ちょっとお洒落着の世界でしょう。たとえば、CdGの「PLAY」のレベルですね。
 したがって、F.W.もコスト削減になり、今様のヴァーチュアルイメージングによってビジネス
向けのイメージング手法がより先鋭化してゆくでしょう。
 僕はパリのコレクションを見せていただき、35年が過ぎましたが、
この「パリのコレクション」とはこのフランスの文化を育ててきた「サロン」の一部でもあると
感じて結果、35年間も通い続けてきたのですが、やはり、最近のコレクション風景には
この「パリのサロン」と言う香りがなくなり始めていましたから、これも、この「コロナ騒動」
後は、もっとなくなってしまうでしょう。そして、ただのビジネスのためのプレゼンテーション
と考えると、今後はその機能は、ヴァーチュアルテクノロジーに委ねた方が新しくも見え、
面白い可能性が生まれるでしょう。
 従来のモードの世界は、「着る人の衣装」によって階級/クラスを保持してきたでしょうが、
今後は、「着るユニフォーム」によって、その人たちの「日常」と「繋がり」をそして、
「Distance」という”リアリティ”を表層化するでしょう。』
合掌。
文責/平川武治:

投稿者 : editor | 2020年6月 1日 16:36 | comment and transrate this entry (0)

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